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Celeron 3205Uの性能は?Broadwell世代の格安PC向けCPUをチェック!

Celeron

最近のノートパソコンのなかでも価格の安い廉価版モデルでは、CPUにBroadwell世代のCeleron 3205Uが使われることがあります。今回はこのCeleron 3205Uについて、基本的な性能とベンチマークによる比較結果を紹介しましょう。
https://little-beans.net/exposition/compare-celeron/

Broadwell世代の2種類のCeleron Uシリーズ

2015年5月の段階で、Broadwell世代のCeleronシリーズとしてリリースされているCPUは、Celeron 3205UとCeleron 3755Uの2種類しかありません。このふたつの違いは、動作周波数が異なる点だけ。Celeron 3205Uの動作周波数が1.5GHzであるのに対し、Celeron 3755Uでは1.7GHzと200MHzほど高くなっています。

Celeron 3205UとCeleron 3755Uの違い
Celeron 3205U Celeron 3755U
コア数/スレッド数 2/2
動作周波数 1.5GHz 1.7GHz
最大動作周波数
TDP 15W
キャッシュメモリー 2MB
グラフィックス Intel HD Graphics(CPU内蔵、第8世代)
グラフィックス動作周波数 100MHz
グラフィックス最大動作周波数 800MHz

 

どちらのCPUも、動作周波数以外の性能はまったく同じです。またインテルが提示する基本のCPU価格についても同じ。それなら動作周波数の高いCeleron 3755Uのほうが、よく使われるのでは?と思いますよね。しかし実際に市場に出回っているのはCeleron 3205Uばかりで、Celeron 3755Uを搭載しているパソコンはほとんど見かけません。もしかするとインテルがパソコンメーカーに対してCeleron 3205Uのほうを安く卸していたり、発熱を抑えるためにメーカー側が動作周波数の低いほうを選んでいる可能性があります。いずれにしても、現在のところBroadwell世代のCeleronはCeleron 3205Uしか選択肢がない状況です。

「インテルCeleronプロセッサー」紹介ページ ※公式サイトより

「インテルCeleronプロセッサー」紹介ページ ※公式サイトより

 

そもそもCeleronは、インテルのCPUのなかでも性能を抑えたシリーズです。そのぶん価格が安いため、主に低価格なパソコンで利用されます。以下の表は、インテルの主なCPUのシリーズをまとめたもの。この表を見るとおわかりのように、性能としてはかなり下のほうに位置しています。

インテル製CPUの違い(性能の高い順)
シリーズ名 読み方 特徴 主な用途 搭載パソコンの価格帯
Xeon ジーオン 先端技術をふんだんに使った超高性能CPU 企業向けサーバー、CG制作 15万円~
Core i7 コアアイセブン かなり高性能な上級CPUで、処理速度が速い。2~8コア 個人向け高性能(ハイエンド)パソコン、業務用パソコン 8~50万円
Core i5 コアアイファイブ 中程度の性能と言われるが、処理速度は速い。2~4コア 個人向けパソコンの標準モデル 6~30万円
Core i3 コアアイスリー Core i5よりは劣るものの、十分実用的な性能。2コア 廉価版モデル 5~20万円
Pentium ペンティアム 性能をCore i3からさらに落とした廉価版CPU。2コア 低価格パソコン 7~10万円
Celeron セレロン 計算性能よりも省電力性能や価格のやすさを重視したCPU。2~4コア 格安パソコン、一体型PC 3~13万円
Atom アトム 省電力性能に特化したCPU。2コア タブレット、小型パソコン 1.5~10万円

 

また「Broadwell」とは発表前のCPUに名付けられた開発コードのことで、簡単に言うと「どれだけ新しいのか」を区別するために使われます(実際には技術的な区分を表わすのですが、その話についてはかなり複雑なのでいずれ別の機会で)。

最近のCPUに使われている通称(開発コード)
正式名称 開発コード 読み方 発表年
第5世代プロセッサー Broadwell ブロードウェル 2014年6月
第4世代プロセッサー Haswell ハズウェル、ハスウェル 2013年6月
第3世代プロセッサー Ivy Bridge アイビーブリッジ 2012年4月
第2世代プロセッサー Sandy Bridge サンディーブリッジ 2011年1月

 

さてBroadwell世代のCPUは、「14nmプロセス」と呼ばれる非常に高度な技術で製造されています。あまりにも技術的に難しいため順調に製造できず、CPUのリリースに遅れが生じました。2014年の後半に「Core M」シリーズと呼ばれるタブレット/モバイルノートパソコン向けのCPUが発表されたあと、2015年1月にモバイルノートパソコン向け上位版「Uシリーズ」がリリースされところでBroadwell世代CPUの展開は(ほぼ)止まっています。より高性能な据え置きノートパソコン向けやデスクトップ向けのシリーズはまだ発表されていませんが、近いうちにリリースされるものと思われます。

 

ちなみにHaswell世代のCeleronには、以下のシリーズがラインナップされていました。

Haswell世代のCeleronの各シリーズ
シリーズ 用途 処理性能 消費電力
Gシリーズ デスクトップパソコン向け(主に自作PC) 高い 大きい
Mシリーズ 据え置き型ノートパソコン向け 標準的 標準的
Uシリーズ モバイル用途のノートパソコン向け やや低い 小さい
Yシリーズ タブレット向け 低い かなり小さい

 

今後新たなCeleronがリリースされるとすれば、上記の表に含まれるシリーズが出てくるものと予想されます。

Celeron 3205UとCeleron 2957UやCeleron N2840との違いは?

Celeron 3205Uと同じく、格安ノートパソコンで使われているCeleron 2950M、Celeron 2957U、Celeron N2840とのスペック的な違いは以下の表のとおりです。モバイル向けの「Uシリーズ」としては前世代のCeleron 2957Uよりも動作周波数が向上し、基本性能はアップしています。しかし据え置き向けの「Mシリーズ」であるCeleron 2950Mほどのパワーはありません。Celeron N2840については動作周波数は高いものの、CPUコア(メインの処理を担当する部分)の基本性能が低いため、総合的な性能ではCeleron 3205Uのほうが上です。

Celeron 2950MとCeleron 2957U/Celeron N2840/Celeron 3205Uの違い
Celeron 2950M Celeron 2957U Celeron N2840 Celeron 3205U
開発コード Haswell Bay Trail-M Broadwell
コア数/スレッド数 2/2
動作周波数 2GHz 1.4GHz 2.16GHz 1.5GHz
最大動作周波数 2.58GHz
TDP 37W 15W 7.5W 15W
cTDPダウン 600MHz/10W
キャッシュメモリー 2MB 1MB 2MB
グラフィックス Intel HD Graphics(CPU内蔵、第7.5世代) Intel HD Graphics(CPU内蔵、第7世代) Intel HD Graphics(CPU内蔵、第8世代)
グラフィックス動作周波数 400MHz 200MHz 311MHz 100MHz
グラフィックス最大動作周波数 1.1GHz 1GHz 792MHz 800MHz

 

Broadwell世代のCeleron Uシリーズの大きな特徴は、動作周波数を抑えることで消費電力を減らす「cTDPダウン」に対応している点です。Haswell世代以前のCeleronシリーズでは、この機能に対応していません。性能を抑えることでバッテリー駆動時間を延長させることができるのですが、現時点でBroadwell世代CeleronのcTDP機能を活用しているモデルはないようです。

Celeron 3205Uのバッテリー性能は?

今回取り上げるCeleron 3205Uは、モバイルノートパソコン向けの省電力性能に優れたCPUです。処理性能としてはHaswell世代の「Mシリーズ」よりも劣るかもしれませんが、バッテリー性能については向上しているとされています。では実際にCeleron 3205Uを搭載したノートパソコンのバッテリーがどれだけもつのか、各モデルのカタログに記載されている公称値をまとめました。

Celeron 3205U搭載モデルのバッテリー駆動時間(公称値)
機種名 バッテリー駆動時間
IIYAMA「15P1220-C-FEM」 3時間20分
デル「Inspiron 15 3000」 6.5時間
FRONTIER「FRNXW918 NXシリーズ」 4時間
東芝「dynabook T45 T45/P」 5.7時間
東芝「dynabook AB15/PW」 5.7時間
NEC「LaVie Note Standard NS100」 6.2時間
デル「Inspiron 14 3000」 6.25時間
平均 5.38時間

 

実際には各モデルによって内蔵バッテリーの容量や構成パーツ、駆動時間の評価方法などが異なるため一概にはこれが平均とは言えないのですが、Celeron 3205Uを搭載したノートパソコンはおおむね5~6時間あたりが標準的なバッテリー駆動時間と言えるかもしれません。

 

ちなみに、Haswell世代のCeleron 2957Uのバッテリー駆動時間についてまとめたところ、以下の表のようになりました。

Celeron 2957搭載モデルのバッテリー駆動時間(公称値)
機種名 バッテリー駆動時間
IIYAMA「15P1200-C-SBM」 4時間2分
VAIO「VAIO Fit 15E|mk2」 5.7~8.6時間
NEC「LaVie E LE150/T1W」 6時間
富士通「LIFEBOOK WU1/S」 7.8時間
富士通「FMV LIFEBOOK AH42/T」 10.2時間
日本HP「ProBook 430 G2/CT Notebook PC」 8.5時間
東芝「dynabook T45 T45/N」 4.9時間
平均 6.9時間

 

Celeron 2957Uのほうがバッテリー駆動時間の平均が長くなっていますが、これはCPUのバッテリー性能が優れているというわけではなく、発売からしばらくたっているCPUを使っているため、各種性能に優れたモデルが多いということだと思います。

Celeron 3205Uと主要なCPUのベンチマーク結果を比較

続いて、Celeron 3205Uのベンチマーク結果を見てみましょう。さまざまなCPUのベンチマーク結果を掲載している「PassMark CPU Benchmarks」によると、Celeron 3205Uのスコアは「1684」とのことです。PassMarkの結果は日々変化するため(新たな結果が追加されるたびにスコアが変わる)、この結果から上下することがあります。しかし現時点ではあまり性能の高いCPUだとは言えない結果となりました。

現在使われている主要なCPUとのベンチマーク比較 ※データ参照元:PassMark CPU Benchmarks

現在使われている主要なCPUとのベンチマーク比較 ※データ参照元:PassMark CPU Benchmarks

 

Coreシリーズではもっとも性能の低いCore i3-5005Uと比べても、55%程度のスコアとなっています。Haswell世代のCore i3を搭載したモデルなら最近は値段がグッと下がってきていますので、そちらを選んだほうがコストパフォーマンスが高いかもしれません。

 

Celeronシリーズで比較すると、性能的には中間あたりと言えそうです。Celeron 2957Uよりは高性能ですが、Bay Trail-M世代(Atom系)のCeleron N2940のほうがクアッドコアであるぶん、ベンチマークの結果が高くなっています。CPUの処理能力とバッテリー性能だけで考えれば、Celeron N2940搭載モデルのほうがお得なケースがあるかもしれません。

Celeronシリーズとのベンチマーク比較 ※データ参照元:PassMark CPU Benchmarks

Celeronシリーズとのベンチマーク比較 ※データ参照元:PassMark CPU Benchmarks

 

格安PC向けとしては

以上のように、Celeron 3205UはBroadwell世代の最新CPUでありながら、性能的にはほかの格安パソコン向けCPUを下回る結果となりました。これは単にCPUの性能が低いというわけではなく、CPU本来の性能を活かしきれていないだけなのかもしれません。でもひょっとするとこのCPUを搭載したモデルが多いのも、インテルが在庫を早く消化したいからバラまいているという考え方もできます。今後の進化やラインナップの拡充に期待したいところです。

 

現時点でCeleron 3205U搭載モデルを選ぶとするなら、CPU性能ではなくメモリー容量やストレージの種類、付属ソフトなどの面から多角的に検討したほうがいいでしょう。性能はある程度低めということを把握した上で、価格と見合っているか判断することをおすすめします。
https://little-beans.net/exposition/compare-celeron/

記事を書いた人
こまめブログ

元雑誌・書籍編集者からPC系フリーライターを経て、レビューブロガーとして活動しているオジサンです。文章に関わる仕事を始めてから25年以上。最高195万PV/月。安いガジェットやPCをよく買いあさっています

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