3~5万円台の格安なノートパソコンに人気が集まっています。その多くのモデルでCeleron 1005MやCeleron N2840などのCPUが使われていますが、それぞれどのくらいの性能を持っているのかよくわからない人も多いでしょう。そこで今回はCeleron 1005MやCeleron N2840など、格安なノートパソコンで利用されているCPUについて解説します。
https://little-beans.net/exposition/compare-celeron/
Celeronは低価格&低スペックな格安パソコン向けCPU
そもそも「Celeron(読み方:セレロン)」は、低価格パソコン向けに性能を抑えた格安なCPUです。同じインテルのCPUであるほかのシリーズと比べると、下位グループに属しています。
インテル製CPUの違い(性能の高い順) | ||||
シリーズ名 | 読み方 | 特徴 | 主な用途 | 搭載パソコンの価格帯 |
---|---|---|---|---|
Xeon | ジーオン | 先端技術をふんだんに使った超高性能CPU | 企業向けサーバー、CG制作 | 15万円~ |
Core i7 | コアアイセブン | かなり高性能な上級CPUで、処理速度が速い。2~8コア | 個人向け高性能(ハイエンド)パソコン、業務用パソコン | 8~50万円 |
Core i5 | コアアイファイブ | 中程度の性能と言われるが、処理速度は速い。2~4コア | 個人向けパソコンの標準モデル | 6~30万円 |
Core i3 | コアアイスリー | Core i5よりは劣るものの、十分実用的な性能。2コア | 廉価版モデル | 5~20万円 |
Pentium | ペンティアム | 性能をCore i3からさらに落とした廉価版CPU。2コア | 低価格パソコン | 7~10万円 |
Celeron | セレロン | 計算性能よりも省電力性能を重視した格安なCPU。2~4コア | 格安パソコン、一体型PC | 3~13万円 |
Atom | アトム | 省電力性能に特化したCPU。2コア | タブレット、小型パソコン | 1.5~10万円 |
Celeron 1005MはIvy Bridge世代でCeleron N2840はBay Trail-M世代
Celeron 1005Mは2013年に発売されたCPUで、第3世代、通称「Ivy Bridge」に分類されています。現在は「Broadwell」が最新世代ですので、2世代前のCPUということです。そのぶん性能的にはやや低いのですが、「型落ち」モデルとしてこのCPUを搭載したパソコンが安く販売されています。
最近のCPUに使われている通称(開発コード) | |||
正式名称 | 開発コード | 読み方 | 発表年 |
---|---|---|---|
第5世代プロセッサー | Broadwell | ブロードウェル | 2014年6月 |
第4世代プロセッサー | Haswell | ハズウェル、ハスウェル | 2013年6月 |
第3世代プロセッサー | Ivy Bridge | アイビーブリッジ | 2012年4月 |
第2世代プロセッサー | Sandy Bridge | サンディーブリッジ | 2011年1月 |
Ivy Bridge世代のCeleronは、全部で5種類のシリーズに分類されています。Celeron 1005Mは処理能力を重視したノートパソコン向けのMシリーズです。
Ivy Bridge世代のCeleronの各シリーズ | |||
シリーズ | 用途 | 処理性能 | 消費電力 |
---|---|---|---|
Gシリーズ | デスクトップパソコン向け(主に自作PC) | 高い | 大きい |
Mシリーズ | 据え置き型ノートパソコン向け | 標準的 | 標準的 |
Uシリーズ | モバイル用途のノートパソコン向け | やや低い | 小さい |
Yシリーズ | タブレット向け | 低い | かなり小さい |
UEシリーズ | 組込み機器向け | 低い | 小さい |
もう一方のCeleron N2840はシリーズ名こそ同じですが、もともとは省電力性能に優れたAtomシリーズとして開発されていました。そのため開発コード「Bay Trail-M」というカテゴリーに属しています。格安タブレットに使われているAtom Z3735Fなども同じ「Bay Trail」世代ですが、こちらはタブレット向けの「Bay Trail-T」ということで用途や性能が異なります。
Bay Trail世代の主なAtomシリーズ | |||
カテゴリー名 | CPUシリーズ | 主な用途 | |
---|---|---|---|
Bay Trail-D | Pentium J、Celeron J | デスクトップパソコン | |
Bay Trail-M | Pentium N、Celeron N | ノートパソコン | |
Bay Trail-T | Atom Z37xx | タブレット |
Celeron 1005MとCeleron N2840のCPUスペックを比較
続いて、Celeron 1005MとCeleron N2840のスペックを確認してみましょう。下の表は、各CPUの主な仕様をまとめたもの。参考までにひと世代あとのCeleron 2950Mと最新のCeleron 3205Uとも比較しています。Celeron 3205Uはモバイル向けの「Uシリーズ」でCeleron 1005Mの「Mシリーズ」とは異なりますが、Broadwell世代の「Mシリーズ」はまだリリースされていないため、「Uシリーズ」を比較対象としています。
Celeron N2840とCeleron 1005M、Celeron 2950M/Celeron 3205Uのスペックの違い | ||||
Celeron N2840 | Celeron 1005M | Celeron 2950M | Celeron 3205U | |
---|---|---|---|---|
開発コード | Bay Trail-M | Ivy Bridge | Haswell | Broadwell |
コア数/スレッド数 | 2/2 | |||
動作周波数 | 2.16GHz | 1.9GHz | 2GHz | 1.5GHz |
最大動作周波数 | 2.58GHz | - | ||
TDP | 7.5W | 35W | 37W | 15W |
cTDPダウン | - | 600MHz/10W | ||
キャッシュメモリー | 1MB | 2MB | ||
グラフィックス | Intel HD Graphics(CPU内蔵、第7世代) | Intel HD Graphics(CPU内蔵、第7.5世代) | Intel HD Graphics(CPU内蔵、第8世代) | |
グラフィックス動作周波数 | 311MHz | 650MHz | 400MHz | 100MHz |
グラフィックス最大動作周波数 | 792MHz | 1GHz | 1.1GHz | 800MHz |
CPUの処理速度に大きく影響する動作周波数は、1.9GHzと比較的高めです。最新のCeleron 3205Uよりも処理性能は上かもしれません。ただしそのぶん、バッテリー駆動時間の長さに影響する「TDP」も35Wと大きく、バッテリー性能はそれほど高くないことがわかります。
ちなみにCeleron N2840の動作周波数がもっとも高いのですが、コア(処理を行なうメイン部分)の性能が異なるため、性能としてはもっとも低くなります。必ずしも動作周波数が高いほうが性能が上というわけではない点に注意してください。
Celeron 1005MとCeleron N2840のベンチマーク結果は?
ここで、Celeron 1005MとCeleron N2840のベンチマーク結果を比較してみましょう。さまざまなCPUのベンチマーク結果を掲載している「PassMark CPU Benchmarks」によると、Celeron 1005Mのスコアは「1879」で、Celeron N2840は「1003」でした。Celeron 1005MのほうがCeleron N2840よりも性能は上ということなのですが、Core i7やCore i5などを含めたノートパソコン全体のなかでは両方とも性能は低めです。
格安ノートパソコンでよく使われるほかのCeleronシリーズと比較すると、Celeron 1005Mは比較的高めの性能を持っていることがわかります。次世代のCeleron 2950Mに続くスコアの高さです。
Celeron N2840はもっとも性能が低い結果となりましたが、CPUの計算性能よりも価格の安さと省電力性能を重視していることを考えれば、当然の結果といえるでしょう。性能よりも軽くてバッテリー駆動時間の長いノートパソコンが欲しいという人なら消費電力の高いCeleron 1005Mよりも、Celeron N2840搭載モデルのほうがおすすめです。
Celeron搭載の格安モデルを紹介
ほかの記事では、Celeronシリーズを搭載した格安なノートパソコンを紹介しています。安いパソコンをお探しの方は、ぜひご覧ください。
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