レノボは8月30日、ふたつの液晶ディスプレイを搭載した10.8インチのWindowsタブレット「Yoga Book C930」を発表しました。価格は999ユーロ(約13万円)からで、海外(ヨーロッパ、中東、アフリカ)での発売日は2018年9月。国内での発売については、現時点では未定です。
ふたつの液晶ディスプレイを搭載
Yoga Book C930の最大の特徴はQHD(2560×1600ドット)の液晶ディスプレイと、フルHD(1920×1080ドット)のE Inkディスプレイが使われている点です。
E Inkは電子ペーパーとも呼ばれ、紙のように見やすい点がポイント。通常の液晶ディスプレイからは強い光が出ていますが、E Ink(電子ペーパー)自体は発光しないため眼に優しいと言われています。また太陽など強い光の下でも見やすい点もメリットです。
Yoga Book C930では、ノートPCでは通常はキーボードにあたる部分にE Inkディスプレイが使われています。この部分に電子書籍やPDF資料などを表示できるほか、ペンタブレットのように手書きで文字やイラストを入力することが可能です。
そしてなによりユニークなのは、E Inkディスプレイをタッチ式のキーボードとして利用できる点です。2016年に発売されたYoga Bookにもタッチ式のキーボードを利用できましたが、Yoga Book C930ではE Inkディスプレイを利用することでキー配列の変更が可能になっています。英字配列はもちろん、日本語配列でも利用できるわけです。
What kind of magic resides in this keyboard? Stay tuned: new tech coming August 30 live from Berlin. #LenovoTechLife #IFA2018 pic.twitter.com/zPcbeMo2Qb
— Lenovo (@Lenovo) August 27, 2018
液晶ディスプレイが回転する2-in-1タイプですので、さまざまなスタイルで利用できます。タブレットスタイルで電子書籍やネットを見るときはE Inkディスプレイ側で、動画を視聴するときは液晶ディスプレイ側でというように、利用方法によって使う画面を変えられるのは面白いですね。
Yoga Book C930のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | Core m3-7Y30 / Core i5-7Y54 |
メモリー | 4GB |
ストレージ | 最大256GB SSD |
グラフィックス | Intel HD Graphics 615 |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | (液晶)10.8インチ 2560×1600ドット、(E Ink)10.8インチ 1920×1080ドット |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.2、LTE通信(オプション) |
インターフェース | USB3.1 Gen1(Type-C)×2、microSDメモリーカードスロット、ヘッドホン出力 |
セキュリティー | ※不明 |
カメラ | 200万画素 |
サイズ/重量 | 幅260.4×奥行き179.4×高さ9.9mm/約775g(Wi-Fiモデル)または約799g(LTEモデル) |
バッテリー駆動時間 | 約8.6時間 |
※2018年8月31日時点。構成や価格は変更される場合があります
CPU性能について
CPUはCore m3-7Y30またはCore i5-7Y54で、Kaby Lake世代のCore mシリーズまたはCore i Yシリーズが使われています。このCPUは省電力性能を重視しているため、一般的なノートPCで使われているCore iプロセッサのUシリーズよりも性能は控えめです。
Core m3-7Y30はSurface Proで、Core i5-7Y54はLAVIE Direct NMで使われており、当サイトでもベンチマークテストを実施しています。ただしLAVIE Direct NMは熱対策のためにクロックを下げているような結果が見られ、本来の性能を引き出しきれていない可能性が高い点に注意してください。
CPU性能比較(CPU Mark)
名称 | 開発コード | コア数 | PassMark CPU Markスコア |
---|---|---|---|
Core i7-8550U | Kaby Lake-R | 4 |
|
Core i5-8250U | Kaby Lake-R | 4 |
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Core i7-7500U | Kaby Lake | 2 |
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Core i5-7200U | Kaby Lake | 2 |
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Core m3-7Y30 | Kaby Lake | 2 |
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Core i3-7100U | Kaby Lake | 2 |
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Core i5-7Y54 | Kaby Lake | 2 |
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Core i3-6006U | Sky Lake | 2 |
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Celeron N4100 | Gemini Lake | 4 |
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Pentium Gold 4415Y | Kaby Lake | 2 |
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Celeron N3450 | Apollo Lake | 4 |
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Celeron 3865U | Kaby Lake | 2 |
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Celeron N4000 | Gemini Lake | 2 |
|
Celeron N3350 | Apollo Lake | 2 |
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※ベンチマーク結果は当サイト計測の平均値で、Yoga Book C930の性能を計測したものではありません
Yoga Book C930と初代Yoga Bookを比較
Yoga Book C930は、2016年に発売されたYoga Book with Windowsの後継モデルです。前モデルは性能が控えめな低価格モデルでしたが、新モデルではスペックが大幅に向上し、プレミアムクラスのモデルに生まれ変わりました。
Yoga Book C930とYoga Book with Windowsの違い
Yoga Book C930 |
Yoga Book with Windows |
|
---|---|---|
発売 | 2018年9月(海外) | 2016年10月 |
実売価格 | 999ユーロ(約13万円) | 5万円前後 |
ディスプレイ | (液晶)10.8インチ 2560×1600ドット
(E Ink)10.8インチ 1920×1080ドット |
10.1インチ 1920×1200ドット |
CPU | Core m3-7Y30 Core i5-7Y54 |
Atom x5-Z8550 |
メモリー | 4GB | 4GB |
グラフィックス | Intel HD Graphics 615 | Intel HD Graphics 400 |
ストレージ | 最大256GB SSD | 64GB eMMC |
LTE | オプションで対応 | オプションで対応 |
USB | USB3.1 Gen1(Type-C)×2 | microUSB2.0、microHDMI |
大きさ | 幅260.4mm 奥行き179.4mm 高さ9.9mm |
幅256mm 奥行き170.8mm 高さ9.6mm |
重さ | 約775g(Wi-Fiモデル)
約799g(LTEモデル) |
690g |
駆動時間 | 8.6時間 | 13時間 |
Yoga Book C930はCPUや液晶ディスプレイなどはスペックアップしているものの、画面が大きくて枚数が増えたぶん、サイズと重量も増えています。またバッテリー駆動時間も短くなりました。
ただ全体的にスペックがよくなっているため、実用性についても大きく向上しているものと思われます。ですが、メモリー容量が4GBである点が残念。8GBであればメインのPCとしても問題なく利用できると思うのですが、4GBだと軽めの作業が対象となってしまいます。このあたりは実際に使ってみないとわかりませんね。
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Yoga Book C930のそのほかのポイント
SIMフリーのLTE通信に対応
Yoga Book C930はオプション(有料)でSIMフリーのLTE通信に対応可能です。SIMカードサイズはナノSIMサイズで、対応バンドは以下の表のとおり。ただし国内版ではこのままかどうかは不明です。
LTE対応バンド
対応バンド | 1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/26/28/29/30/38/39/40/41/66 |
ドコモ対応バンド | 1/3/19/21/28/42 |
au対応バンド | 1/3/11/18/26/28/42 |
ソフトバンク対応バンド | 1/3/8/11/28/41/42 |
ぜひ使ってみたい先進的なタブレット
ということで、今回はYoga Book C930のスペックや特徴について解説しました。ベンチマーク結果はほかの機種を使ったものですが、実際に検証する機会があればレビュー記事を公開する予定です。記事を公開しだい当サイトのtwitterアカウントでお知らせするので、フォローしていただくことをおすすめします。
筆者は前モデルのYoga Book with Windowsを持っていましたが、本当にユニークで魅力あふれる機種でした。ただスペックが低くて、常用するのには厳しかったんですよね。
今回発表されたYoga Book C930も前モデルに負けないくらい先進的で、とても興味深い機種だと思っています。メモリーはあいかわらず4GBのままですが、CPUやストレージの性能が大きく向上したので、ある程度は使えるモデルになっているでしょう。個人的にとても気になる機種ですので、日本での発表/発売が待たれます。
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