AMDのAthlon Silver 3050Uは、2020年1月に発表されたノートPC向けのCPU (APU)です。性能よりも価格の安さを重視しているため、格安なノートPCやデスクトップPCで使われています。
Athlon Silver 3050Uのスペック
世代 | Zen+ |
---|---|
開発コード | Picasso |
コア数 / スレッド数 | 2 / 2 |
動作周波数 | 2.3GHz |
最大動作周波数 | 3.2GHz |
TDP | 15W |
内蔵グラフィックス | AMD Radeon Graphics |
CPUとしての総合性能は2021年7月時点で下の上クラスです。速くはなく重い処理には向きませんが、メモリーとストレージの容量 / 性能が十分であれば案外普通に使えます。ネットの調べ物や動画視聴、ちょっとした文書作成など軽めの作業向きです。
Athlon Silver 3050Uのベンチマークスコア概要
CPU | PassMark 9.0 CPU Markスコア |
---|---|
Ryzen 7 5700U |
18449
|
Ryzen 5 5500U |
14737
|
Core i7-1165G7 |
12643
|
Core i5-1135G7 |
11434
|
Ryzen 3 5300U |
9550
|
Core i3-1115G4 |
7398
|
Ryzen 3 3250U |
5202
|
Athlon Silver 3050U |
3851
|
3020e |
2989
|
Celeron N4500 |
2010
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
この記事ではこれからノートPCを購入しようとしている方のために、Athlon Silver 3050Uの性能について紹介します。
※グラフィックス機能内蔵のAMD製プロセッサーは本来「APU」と呼ばれますが、この記事では初心者の混乱を避けるために「CPU」と表記します
Athlon Silver 3050U概要
AthlonはAMD製プロセッサーのなかで下位クラスに位置付けられるCPUです。ほかのクラスに比べて価格が安い代わりに、性能は控えめ。とは言え、重い処理でなければ普通に使えます。
CPUの種類
AMD | インテル | 概要 |
---|---|---|
Athlon / AMD | Celeron / Pentium | とにかく価格の安さを重視 |
Ryzen 3 | Core i3 | 性能よりも価格の安さを重視 |
Ryzen 5 | Core i5 | 性能と価格のバランスを重視 |
Ryzen 7 | Core i7 | 性能を重視 |
Ryzen 9 | Core i9 | とにかく性能をとことん重視 |
AMDの格安PC向けCPUとしてはAthlon Silver 3050U以外にも、AMD 3020eやRyzen 3 3250Uなどが存在します。そのなかでAthlon Silver 3050Uは、中位クラス的な位置付けです。
AMDの格安PC向けCPU
AMD 3020e | Athlon Silver 3050U | Ryzen 3 3250U |
---|---|---|
2コア / 2スレッド | 2コア / 4スレッド | |
最大3.2GHz | 最大2.6GHz | 最大3.5GHz |
TDP 6W | TDP 15W | |
AMD Radeon Graphics | ||
2020年1月発売 |
ちなみにAthlon Silver 3050Uの上位CPUとしてAthlon Gold 3150UというCPUが存在しますが、こちらはあまり使われていません。また低消費電力タイプ(TDP 6W)のAthlon Silver 3050eもたまに使われますが、こちらは Athlon Silver 3050Uよりも性能がガクッと劣ります。
Athlon Silver 3050UのCPU性能
続いて、当サイトで実施したCPUベンチマークテストの結果を紹介します。なおベンチマーク結果は各機種の平均値であり、Athlon Silver 3050U本来の性能を正確に表わすものではありません。また結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などにより大きく変わることがあることをあらかじめご了承ください。
一般ノートPC向けCPUとの比較
スタンダードノートPC / モバイルノートPC向けCPUのなかでは、Athlon Silver 3050Uは下の上クラスです。実際のところ、性能はかなり低め。動画編集やゲームなどの重い処理には向きません。画像を多用する資料作りも、ちょっと厳しいでしょう。
しかしメモリー容量やストレージの種類しだいでは、多少反応が遅いものの普通に使えます。基準は8GB以上のメモリーとSSDのふたつ。4GBメモリーだけだったりストレージがSSDではなくHDDだったりすると、とても遅く感じるはずです。
CPUとの性能比較(総合性能)
CPU | PassMark 9.0 CPU Markスコア |
---|---|
Ryzen 7 5700U |
18449
|
Ryzen 7 4700U |
15141
|
Ryzen 5 5500U |
14737
|
Core i7-10710U |
13685
|
Ryzen 5 4500U |
12939
|
Core i7-1165G7 |
12643
|
Core i7-1065G7 |
12016
|
Core i5-1135G7 |
11434
|
Core i5-1035G4 |
10844
|
Core i7-10510U |
10257
|
Core i5-1035G1 |
9667
|
Ryzen 3 5300U |
9550
|
Core i5-10210U |
9329
|
Ryzen 3 4300U |
9154
|
Core i3-1115G4 |
7398
|
Core i3-10110U |
5553
|
Ryzen 3 3250U |
5202
|
Athlon Silver 3050U |
3851
|
3020e |
2989
|
Celeron N4120 |
2771
|
Celeron N4500 |
2010
|
Celeron N4020 |
1658
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUとの性能比較(マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 7 5700U |
3512
|
Ryzen 5 5500U |
2817
|
Ryzen 7 4700U |
2767
|
Ryzen 5 4500U |
2252
|
Core i7-10710U |
2214
|
Core i5-1135G7 |
2063
|
Core i7-1165G7 |
1963
|
Core i7-1065G7 |
1612
|
Ryzen 3 4300U |
1581
|
Core i7-10510U |
1476
|
Core i5-1035G4 |
1480
|
Core i5-1035G1 |
1437
|
Core i5-10210U |
1408
|
Core i3-1115G4 |
1314
|
Core i3-10110U |
918
|
Ryzen 3 3250U |
818
|
Athlon Silver 3050U |
624
|
Celeron N4120 |
435
|
Celeron N4500 |
426
|
Celeron N4020 |
327
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
Athlon Silver 3050Uのグラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadeon Graphicsが使われます。3Dベンチマークテストの結果はかなり低め。Celeronや第10世代のCore i3などよりはスコアが高いものの(グラフに含まれていません)、グラフィックス性能には期待できません。ゲームやクリエイター向けソフトの利用は考えないほうがいいでしょう。
GPUの性能比較
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
8513
|
MX450 |
4900
|
Iris Xe (Core i7) |
4561
|
MX350 |
3931
|
Iris Xe (Core i5) |
3478
|
Radeon (Ryzen 7) |
3384
|
Iris Plus |
2880
|
Radeon (Ryzen 5) |
2652
|
Radeon (Ryzen 3) |
2324
|
UHD (Core i7) |
1335
|
Athlon Silver 3050U(8GB×1) |
909
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
Athlon Silver 3050Uのゲーム性能
ゲームについては、ドラクエ10やリーグ・オブ・レジェンド (LoL)など超軽量級タイトルであっても、画質をグッと下げる必要があります。もしくは解像度を下げて、画質は中位レベルでならカクカクは気にならないかもしれません。とは言えいずれにしてもゲーム性能はかなり低く、基本的にはゲームのプレーは考えないほうが無難です。
ソリティアなどごく軽いUWPアプリでもわずかにカクつくことがありました
※テストはすべてフルHDで実施
ドラクエXベンチ (超軽量級 / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 3054 / 普通 |
標準品質 | 4375 / 普通 |
低品質 | 5586 / 快適 |
PSO2ベンチ (軽量級 / DX9)
簡易描画設定 | スコア |
6 (最高) | 241 |
3 | 1,577 |
1 (最低) | 16,804 |
※スコア5,000以上が快適に遊べる目安
リーグ・オブ・レジェンド (LoL) (超軽量級 / DX9)
モード | 平均FPS / 最低FPS |
サモナーズリフト (最高画質) | 55.6 FPS / 46 FPS |
TFT (最高画質) | 44.5 FPS / 32 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
Athlon Silver 3050U搭載機種ごとの違い
当サイトでは2021年7月までに、Athlon Silver 3050U搭載モデルを1機種のみ検証しています。検証台数が少ないため、とりあえずは暫定データとして参考にしてください。ほかの機種を検証する機会があれば、随時データを更新します。
Athlon Silver 3050U搭載機別のベンチマーク結果
機種名 | CINEBENCH R20 | CPU Mark | Fire Strike Graphics score |
---|---|---|---|
HP 15s-eq1000 | 624 | 3851 | 909 |
※製品名クリックでレビューをご覧いただけます
搭載機はメモリーとストレージにも注目
2021年7月時点でAthlon Silver 3050U搭載機種は、3~4万円台で販売されています。ただしその多くが4GBメモリーまたはストレージがHDDで、実際の利用ではかなり遅く感じるでしょう。最低限8GBのメモリーと、ストレージとしてSSDが使われている機種を選んでください。その組み合わせであれば、速くはないもののそこそこ普通に使えるはずです。
ただ値段的にRyzen 3 3250U搭載機種と変わらないので、予算に多少の余裕があるならそちらをおすすめします。
*
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