インテルのAtomシリーズに、新たなモデルが追加されました。新規にラインナップされたのはAtom x5-Z8330とAtom x5-Z8350、Atom x5-Z8550、Atom x7-Z8750の4種類。従来のAtom x5/x7シリーズとスペック面で大きく変わっていないことから、新ステッピング(Dステッピング)を採用したリニューアル版だと思われます。
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Cherry Trail世代が新ステッピングに移行?
2016年1月にBraswell世代のCeleron/Pentiumシリーズが、CステッピングからDステッピングに移行しました。今回はその流れが、Cherry Trail世代にまで及んだものだと思われます。
「ステッピング」とはCPUにおける細かな仕様変更のことです。基本性能はほぼ変わりませんが、不具合が修正されていたり省電力性能が向上したり、あるいは動作周波数が少しアップしていることもあります。ソフトに例えると、マイナーバージョンアップのようなものだと思ってください。
今回インテルが公開したのは、Atom x5-Z8330とAtom x5-Z8350、Atom x5-Z8550、Atom x7-Z8750の4種類です。プロセッサーナンバーから判断すると、2015年にリリースされたAtom x5/x7のリニューアル版と考えていいでしょう。
Cherry Trail世代のCPU | |
Dステッピング (2016年2月リリース) |
Cステッピング (2015年3月リリース) |
---|---|
Atom x5-Z8330(1.44GHz) | Atom x5-Z8300(1.44GHz) |
Atom x5-Z8350(1.44GHz) | |
Atom x5-Z8550(1.44GHz) | Atom x5-Z8500(1.44GHz) |
Atom x7-Z8750(1.6GHz) | Atom x7-Z8700(1.6GHz) |
なお、まだ正式にDステッピングであること判明したわけではありませんが、今回は便宜上の理由により、Dステッピングと表記します。
Atom x5-Z8330とAtom x5-Z8350のスペック
新たにラインナップされたAtom x5-Z8330/Atom x5-Z8350と、従来のAtom x5-Z8300のスペックは、以下の表のとおりです。
Atom x5-Z8330/Atom x5-Z8350/Atom x5-Z8300の違い | |||
CPU名 | Atom x5-Z8330 | Atom x5-Z8350 | Atom x5-Z8300 |
---|---|---|---|
開発コード | Cherry Trail | ||
ステッピング | D | C | |
コア数/スレッド数 | 4/4 | ||
動作周波数 | 1.44GHz | ||
バースト周波数 | 1.92GHz | ※不明 | 1.84GHz |
キャッシュメモリー | 2MB(L2) | ||
SDP | 2W | ||
グラフィックス | Intel HD Graphics 400 | ※不明 | Intel HD Graphics(第8世代) |
グラフィックス動作周波数 | 200MHz | ||
グラフィックス最大動作周波数 | 500MHz | ||
実行ユニット数 | 12 |
Atom x5-Z8350で一部の項目が表記されていないのは、Intel ARKに正しく表記されていないためです。内容が修正されましたら、記事の内容を更新します。
さて3種類のCPUを比較すると、バースト周波数とグラフィックス以外はまったく変わっていないことがわかります。グラフィックスについても調べてみたところ、Intel HD Graphics(第8世代)と Intel HD Graphics 400のスペックは同じでした。おそらくリネームされただけなのだと思います。
Atom x5-Z8550のスペック
新ステッピングのAtom x5-8550と前ステッピングのAtom x5-8500に関しても、スペックはほとんど変わっていません。性能的には同じですので、安定動作版と捉えるべきでしょう。
Atom x5-Z8550とAtom x5-Z8500の違い | ||
CPU名 | Atom x5-Z8550 | Atom x5-Z8500 |
---|---|---|
開発コード | Cherry Trail | |
ステッピング | D | C |
コア数/スレッド数 | 4/4 | |
動作周波数 | 1.44GHz | |
バースト周波数 | ※記載なし | 2.24GHz |
キャッシュメモリー | 2MB(L2) | |
SDP | 2W | |
グラフィックス | Intel HD Graphics 400 | Intel HD Graphics(第8世代) |
グラフィックス動作周波数 | 200MHz | |
グラフィックス最大動作周波数 | 600MHz | ※記載なし |
実行ユニット数 | 12 |
Atom x7-Z8750のスペック
新ステッピングのAtom x7-8750についても、前ステッピングのAtom x7-8700とほぼおなじスペックです。
Atom x7-Z8750とAtom x7-Z8700の違い | ||
CPU名 | Atom x7-Z8750 | Atom x7-Z8700 |
---|---|---|
開発コード | Cherry Trail | |
ステッピング | D | C |
コア数/スレッド数 | 4/4 | |
動作周波数 | 1.6GHz | |
バースト周波数 | ※記載なし | 2.4GHz |
キャッシュメモリー | 2MB(L2) | |
SDP | 2W | |
グラフィックス | Intel HD Graphics 400 | Intel HD Graphics(第8世代) |
グラフィックス動作周波数 | 200MHz | |
グラフィックス最大動作周波数 | 600MHz | ※記載なし |
実行ユニット数 | 12 |
新ステッピングのほうが信頼性は高い
DステッピングのAtom x5-Z83xxではバースト周波数が従来よりも0.08GHz(80MHz)アップしているので、パフォーマンスは向上していると言えます。しかしその差を体感できるほどではないでしょう。そのほかの新CPUについては、スペック上ではまったく同じ性能です。
では新ステッピングのCPUを使う意味はないのかというと、そんなことはありません。性能自体は変わらないものの、不具合や初期不良が減っているぶん新CPUのほうが信頼性が高いと言えるのです。CPUの新旧でモデルを比較するなら、新CPU搭載モデルを選ぶことをおすすめします。
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