AMDのRyzen 3 3200Uは、2019年1月に発表されたノートPC向けのCPU (※)です。主に2019年春以降に発売された薄型のスタンダードノートPCやモバイルノートPCなどで使われています。
※グラフィックス機能が内蔵されたAMD製プロセッサーは本来「APU」と呼ばれますが、この記事ではわかりやすさ優先で「CPU」と表記しています
Ryzen 3 3200Uのスペック
世代 | Ryzen Mobile APU 第2世代 |
---|---|
開発コード | Picasso |
コア数 / スレッド数 | 2 / 4 |
動作周波数 | 2.6GHz |
最大動作周波数 | 3.5GHz |
TDP | 15W |
内蔵グラフィックス | Radeon Vega 3 Graphics |
性能はインテルのCore i3相当と言われることもありますが、当サイトの検証ではCore i3よりもやや下、Core m3よりもやや上といったところです。高性能とは言えませんが、軽めの作業なら普通に使えます。
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i5-10210U |
9988
|
Ryzen 5 3500U |
8475
|
Core i3-8145U |
5549
|
Core i3-10110U |
5534
|
Core i3-8130U |
5534
|
Ryzen 3 3200U |
4609
|
Core m3-8100Y |
4172
|
Celeron 4205U |
2026
|
※スコアは当サイト計測値の平均
Ryzen 3 3200Uの用途
※ノートPC向けCPUとしての評価
この記事ではこれからノートPCを購入しようとしている方のために、Ryzen 3 3200Uの性能について紹介します。
Ryzen 3 3200U概要
AMDのRyzen Uシリーズは、一般用途向けのスタンダードノートPCや軽量薄型のモバイルノートPCで利用されています。ラインナップはRyzen 3、Ryzen 5、Ryzen 7の3種類。それぞれの位置付けはインテルのCore iプロセッサーと同様と考えていいでしょう。
Ryzen / Core iプロセッサーの種類
AMD | インテル | |
---|---|---|
価格重視 | Ryzen 3 | Core i3 |
価格と性能のバランス重視 | Ryzen 5 | Core i5 |
やや性能重視 | Ryzen 7 | Core i7 |
とにかく性能重視 | - | Core i9 |
Ryzen 3 3200Uは2コア / 4スレッドで動作するCPUで、その点については現行世代のCore i3-10110UやCore i3-1005G1と変わりません。ただRyzenシリーズよりCore iシリーズのほうがメジャーで、ノートPCではCore i3のほうが圧倒的によく使われています。
Ryzen 3とCore i3の違い
Ryzen 3 3200U | Core i3-10110U | |
---|---|---|
コア数 / スレッド数 | 2 / 4 | 2 / 4 |
動作周波数 | 2.6GHz | 2.1GHz |
最大動作周波数 | 3.5GHz | 4.1GHz |
TDP | 15W | 15W |
内蔵グラフィックス | Radeon Vega 3 Graphics | UHD Graphics |
しかしながらCore i3搭載機種よりも、Ryzen 3搭載機種のほうが安く販売されていることもあって、最近は徐々に注目され始めてきました。またRyzen 3よりワンランク上のRyzen 5 3500Uも、Core i5より安いということで注目されています。
Ryzen 3とCore i3の違い
Ryzen 3 3200U | Ryzen 5 3500U | |
---|---|---|
コア数 / スレッド数 | 2 / 4 | 4 / 8 |
動作周波数 | 2.6GHz | 2.1GHz |
最大動作周波数 | 3.5GHz | 3.7GHz |
TDP | 15W | 15W |
内蔵グラフィックス | Radeon Vega 3 Graphics | Radeon Vega 8 Graphics |
Ryzen 3 3200Uのベンチマーク結果
続いて、当サイトで実施したCPUベンチマークテストの結果を紹介します。なおベンチマーク結果は各機種の平均値であり、Ryzen 3 3200U本来の性能を正確に表わすものではありません。また結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などにより大きく変わることがあることをあらかじめご了承ください。
一般ノートPC向けCPUとの比較
一般用途向けのスタンダードノートPCやモバイルノートPC向けのCPUで比較すると、Ryzen 3 3200Uの性能は平均よりもちょっと下あたりです。Core i3を中位クラスとするなら、中位の下もしくは下位の上といったところ。一般的には性能が低い部類に入ります。
CPUの性能比較
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i7-1065G7 |
12518
|
Core i5-1035G4 |
11379
|
Core i5-10210U |
9988
|
Core i7-8565U |
9814
|
Core i5-1035G1 |
9164
|
Ryzen 5 3500U |
8475
|
Core i3-8145U |
5549
|
Core i3-10110U |
5534
|
Core i3-8130U |
5534
|
Ryzen 3 3200U |
4609
|
Core m3-8100Y |
4172
|
Celeron 4205U |
2026
|
Celeron N4000 |
1553
|
※スコアは当サイト計測値の平均
格安ノートPC向けCPUとの比較
3~5万円台で販売されている格安ノートPC向けCPUのなかでは、Ryzen 3 3200Uは比較的高性能です。3万円台後半から4万円台半ばあたりで販売されているノートPCであれば、お買い得と言っていいでしょう。軽量スリムなモバイルノートPCや8GB以上のメモリーが搭載されている機種なら、5~7万円台でもアリです。
CPUの性能比較
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i3-8130U |
5534
|
Athlon 300 |
4703
|
Ryzen 3 3200U |
4609
|
Core i3-7020U |
3769
|
Pentium N5000 |
2650
|
Celeron N4100 |
2569
|
Celeron 4205U |
2026
|
Celeron 3865U |
2016
|
Celeron N4000 |
1553
|
Celeron N3350 |
1254
|
※スコアは当サイト計測値の平均
デスクトップPC向けCPUとの比較
ノートPCよりも性能の高いデスクトップPC向けCPUと比較すると、Ryzen 3 3200Uの性能はCore i3よりもグッと劣ります。当サイトではデータがないのですが、おそらく3万円台で買えるデスクトップPC向けのCeleronやPentiumあたりかもしれません。
CPUの性能比較
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i7-9700 |
17258
|
Core i7-8700 |
15412
|
Core i5-9400F |
12043
|
Core i5-8400 |
11229
|
Core i3-9100 |
8784
|
Core i3-8100 |
8027
|
Ryzen 3 3200U |
4609
|
※スコアは当サイト計測値の平均
Ryzen 3 3200Uのグラフィックス性能
グラフィックス性能のテストでは、Core i3内蔵のUHD / UHD 620 Graphicsを大きく上回り、第10世代Core i5のUHD相当の結果が出ています。ただしゲームを快適に遊べるほどではなく、ごく軽めのゲームを解像度や画質を調整してなんとかというレベルです。
またGPUサポート機能搭載のクリエイター向けソフトで効果はあるかもしれませんが、それらのソフトではCPUの計算性能のほうが大きく影響するので、体感できるほどの効果はないでしょう。
GPUの性能比較
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
8770
|
GTX 1050 |
6008
|
MX250 |
3711
|
MX150 |
3386
|
Iris Plus (Core i7) |
2981
|
Iris Plus (Core i5) |
2136
|
UHD (Ice Lake Core i5) |
1396
|
Ryzen 3 3200U (Radeon Vega 3) |
1372
|
UHD 620 (Core i7) |
1265
|
UHD (Comet Lake Core i5) |
1251
|
UHD 620 (Core i5) |
1186
|
UHD 620 (Core i3) |
975
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
Ryzen 3 3200U搭載機種ごとの違い
当サイトでは2019年12月までに、Ryzen 3 3200U搭載モデルを1機種のみ検証しています。検証数が少ないためデータの精度は高くありません。とりあえずの暫定データとして考えてください。今後検証機種が増えれば、データを更新します。
Ryzen 3 3200U搭載機別のベンチマーク結果
機種名 | CINEBENCH R20 | CPU Mark | サイズ |
---|---|---|---|
HP 14s | 643 | 4609 | 14インチ |
Ryzen 3 3200U搭載おすすめ機種
IdeaPad S340 (14, AMD)
14インチのフルHDディスプレイを搭載した機種。Ryzen 3搭載モデルとしては最安ですが、液晶ディスプレイがTNパネルでやや青みがかっています。普通に利用できますが、映像品質よりも価格の安さを優先したい人向けです。
IdeaPad C340 (14, AMD)
液晶ディスプレイが回転する14インチの2-in-1モデル。手書き入力用のアクティブペンが標準で付属しています。液晶ディスプレイには映像品質に優れるIPSパネルが使われているほか、タッチ操作にも対応。動画視聴やちょっとしたメモ作成などに向いています。
HP 14s-dk0000
発色に優れるIPSパネルと光沢ありのグレア仕上げによる鮮やかな映像が特徴。有線LAN端子に対応している点もポイントです。ホワイトのボディは上品な仕上がりで、安っぽさはあまり感じられません。メモリーとSSDの容量が大きい点が魅力。
HP 15-db0000
DVDの再生と書き込みが可能な光学ドライブを搭載。数値入力に便利なテンキーも付いた、もっともスタンダードなタイプです。液晶ディスプレイは高精細なフルHDですが、映像は若干青みがかっています。普通のノートPCが欲しい人におすすめ。
HP ENVY x360 13-ar0000
13インチのモバイル2-in-1としては破格の値段。値段は中級クラスでも、本体の仕上がりの良さは高級クラス並みです。さらに標準で指紋センサーを搭載しているほか、別売りのアクティブペンを使えば手書き入力も行なえます。コスパの高さはピカイチ!
狙い目は5万円未満のモデル
上記のようにRyzen 3 3200U搭載ノートPCは、4万円前後からの価格で販売されています。しかし安い機種はメモリーやSSDの容量が少なく、処理に時間がかかったりストレージの空き容量が足りなくなるかもしれません。できれば8GBメモリーと256GB以上のSSDを搭載した5万円未満の機種を選ぶといいでしょう。
ただし、1~2万円プラスすればCore i5搭載の高性能モデルを購入できます。性能はRyzen 3 3200Uよりも圧倒的に高く、コスパの面ではCore i5搭載機種のほうが上です。あくまでも予算を安く抑えるならRyzen 3、コスパ重視ならCore i5を検討してみてはいかがでしょうか。
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