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VAIO株式会社の「VAIO Pro 13 | mk2」は、ビジネス用途に特化した13.3型モバイルノートパソコンです。同じジャンルの製品に堅牢性で高い評価を得ているパナソニックの「Let’snote(レッツノート)」シリーズがありますが、この市場に真っ向から勝負をしかける形となりました。2種類の「タフモバイル」ノートパソコンである「VAIO Pro 13 | mk2」と「Let’snote」はどこが異なるのか? その違いについて解説します。
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Let’snoteを強く意識したVAIO Pro 13 | mk2の品質試験
「Let’snote」シリーズは高い堅牢性を持つ、つまり頑丈で壊れにくい作りのモバイル向けノートパソコンです。また軽量でバッテリー駆動時間が長いことからも、ユーザーから高い評価を受けています。
「Let’snote」の堅牢性を表わす代名詞として引き合いに出されるのが、「76cm落下試験」と「100kgf加圧振動試験」のふたつのテストです。要は「76cmの高さから落としても壊れませんでしたよ」、「100kgの力で圧迫しながら揺らしても大丈夫でしたよ」と公表することで、「Let’snoteは頑丈なモバイルノートパソコン」というイメージを印象付けてきたのです。
さてもう一方の「VAIO Pro 13 | mk2」でも、どのような品質試験を行なっているのかを公表しています。その内容を見ると「Let’snote」と同じテストでありながらもより条件を厳しくしており、さらに「Let’snote」では行なっていないテストも実施しています。下記の表はそれぞれの機種のテスト内容をまとめたもの。「VAIO Pro 13 | mk2」が「Let’snote」を強く意識していることがわかります。
「VAIO Pro 13 | mk2」と「Let’snote」のテスト内容 | ||
VAIO Pro 13 | mk2 | Let’s note | |
---|---|---|
落下試験 | 90cm(6面) | 76cm(底面方向、動作時)/30cm(26方向、非動作時) |
加圧振動試験 | 150kgf | 100kgf(天面と底面) |
ペン挟み試験 | ◯ | 不明 |
角衝撃試験 | ◯(5cmの高さからの落下を5,000回×4つの角) | 不明 |
本体ひねり試験 | ◯ | 不明 |
液晶ハウジング加圧試験 | ◯ | 不明 |
表立っては公言していませんが、このテスト内容からVAIO株式会社は「VAIO Pro 13 | mk2はLet’snoteよりも頑丈です!」とアピールにしているわけです。「VAIO Pro 13 | mk2」のお披露目イベントでも、かなり過激なパフォーマンスを披露していました。
Let’snoteはどれだけ売れているのか?
ここで、どうしてVAIOはそこまで「Let’note」にこだわるのかという疑問が湧いてきます。と言っても答えは簡単で、みなさんご察しのとおり「Let’note」が売れているからです。
業務向けのモバイルノートパソコンとしては一時期「Let’snote」とレノボ(昔はIBM)の「ThinkPad」シリーズが人気でした。しかし「ThinkPad」シリーズはブランドがIBMからレノボに譲渡されてからは低価格路線を重視するようになり、以前ほどの人気はありません。
現在、「Let’snote」の国内シェアは上昇し続けており、2013年時点で13型未満のノートパソコンにおける「Let’snote」の国内シェアは41%にもなっているそうです。
我々が重視している13型未満のノートPC市場(ミニノートを除く)におけるLet’snoteのシェアは、2012年には38%だったものが、2013年には41%と4割を突破しました。とくに法人市場においてはさらにシェアが高まっており、2012年には37%のシェアだったものが、2013年には46%にまで拡大しています。
――なぜ、Let’snoteとTOUGHPADは好調なのか?(PC Watch)
国内メーカーがパソコン事業を縮小するなか、「Let’snote」を扱うパナソニックのPC事業は着実に成長し続けており、数年先には年間100万台の出荷を目標としているそうです。このようにビジネス向けノートパソコンは個人向けよりも手堅く利益を出せる市場であり、VAIO株式会社がここに切り込もうとしているのもうなずけます。
「VAIO Pro 13 | mk2」と「Let’snote」のスペックを比較
さて前置きが長くなってしまいましたが、ここからは「VAIO Pro 13 | mk2」と「Let’snote」をスペックから比較してみましょう。「Let’snote」には形状や液晶ディスプレイの異なる4種類のシリーズがありますが、ここでは「VAIO Pro 13 | mk2」と同じクラムシェル型で14型の「Let’snote LX4」と12.1型の「Let’snote SX4」と比べることとします。
「VAIO Pro 13 | mk2」と「Let’snote」店頭モデルのスペック | ||||
製品名 | VAIO Pro 13 | mk2 | Let’s note SX4 | Let’s note LX4 | |
---|---|---|---|---|
型番 | VJP1329GCJ1B(Core i5モデル) | VJP1329SCH1S(Core i3モデル) | CF-SX4HDPBR(最安モデル) | CF-LX4HDABR(最安モデル) |
OS | Windows 8.1 Update 64ビット | Windows 8.1 Pro Update 64ビット | ||
CPU | Core i5-5200U(2.20GHz) | Core i3-5005U(2GHz) | Core i5-5200U(2.20GHz) | |
メモリー | 4GB | 8GB | ||
グラフィックス | Intel HD Graphics 5500 | |||
ストレージ | 128GB SSD(SATA) | 750GB HDD | 500GB HDD | |
光学ドライブ | なし | DVDスーパーマルチドライブ | ||
ディスプレイ | 13.3型、1,920×1,080ドット | 12.1型、1,600×900ドット | 14型、1,600×900ドット | |
タッチパネル | 非対応 | |||
有線LAN | 1000BASE-T対応 | |||
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n/ac | |||
Bluetooth | Bluetooth4.0 | |||
Webカメラ | “Exmor R for PC” CMOS センサー搭載HDウェブカメラ(92万画素) | 最大1280×960ピクセル(120万画素相当) | ||
主なインタフェース | USB3.0×3、アナログRGB、HDMI、有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリカードスロット、ヘッドホン出力 | USB3.0×2、USB2.0×1、アナログRGB、HDMI、有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリカードスロット、ヘッドホン出力 | ||
バッテリ駆動時間 | 10.4時間(JEITA2.0) | 10時間(JEITA2.0) | 9時間(JEITA2.0) | 7時間(JEITA2.0) |
本体サイズ | 幅322×奥行き216.5×高さ13.2~17.9mm | 幅295×奥行き197.5×高さ25.4mm | 幅333×奥行き225.6×高さ24.5mm | |
重量 | 1.03kg | 1.19kg | 1.31kg | |
オフィス | Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービス | なし | Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービス | |
キーボード | キーピッチ約19mm、キーストローク約1.2mm | キーピッチ約19mm(横)/16mm(縦) | キーピッチ約19mm | |
店頭予想価格(税抜き) | 14万4800円 | 10万9800円 | 21万5000円前後 | 20万円前後 |
スペック表からではわかりづらい部分もありますので、 特徴的な違いについてまとめました。
「VAIO Pro 13 | mk2」と「Let’snote」の違い | |
CPU | 基本的にはほぼ同じですが、VAIO Pro 13 | mk2では価格と性能を抑えたCore i3-5005Uが用意されています |
---|---|
メモリー | Let’snoteでは8GBであるのに対し、VAIO Pro 13 | mk2では4GB(※ただしCTOモデルでは8GBを搭載可能) |
ストレージ | VAIO Pro 13 | mk2では高速なSSDを搭載しているのに対し、Let’snoteはHDD(※ただし上位モデルではSSDを搭載) |
解像度 | VAIO Pro 13 | mk2は1920×1080ドットで、1600×900ドットのLet’snoteよりも高精細 |
光学ドライブ | Let’snoteはDVDスーパーマルチドライブやブルーレイディスクドライブ(上位モデル)を搭載。VAIO Pro 13 | mk2は非対応 |
インターフェース | ほぼ同等レベル。ただしVAIO Pro 13 | mk2のほうがUSB3.0端子の数は多い |
バッテリー駆動時間 | VAIO Pro 13 | mk2のほうがわずかに長い。ただしLet’snote LX4の上位モデルには最大20時間駆動のバッテリーが付属する |
持ち運びやすさ | フットプリント(接地面積)はそれぞれ順当な大きさ。VAIO Pro 13 | mk2のほうが薄く、重量は軽い |
堅牢性 | テスト内容ではVAIO Pro 13 | mk2のほうが優っているが、実際の性能は未知数。Let’snoteには長年培われてきたノウハウと実績がある |
価格 | VAIO Pro 13 | mk2のほうが格段に安い |
ここで注目したい点は3つあります。ひとつ目は、「VAIO Pro 13 | mk2」の店頭販売向けモデル(標準仕様モデル)にはメモリーが4GBしか搭載されてない点です。メインのパソコンとして利用するなら、8GBは欲しいところ。人によってはこの時点で、8GBのメモリーを搭載できるCTOモデルを選ぶこともあるでしょう。
ふたつめは「VAIO Pro 13 | mk2」は光学ドライブに対応していない点です。ソフトのインストールやバックアップ、メディアの再生には光学ドライブが必要となるときもありますが、「VAIO Pro 13 | mk2」では外付けの光学ドライブを用意する必要があります。
3つ目は、「VAIO Pro 13 | mk2」は価格がかなり安く抑えられているという点です。一部の機能では「Let’snote」のほうが優っているものの、同程度の堅牢性とより優れた携帯性を備えているとなれば、対抗モデルとしての実力は十分ではないでしょうか。
なおそれぞれにはパーツ構成を選択できるCTOモデル/カスタマイズモデルが用意されていますが、話が複雑になるため別の機会に解説しようと思います。
コストパフォーマンスの「VAIO Pro 13 | mk2」とブランド力の「Let’snote」
スペックや価格面から見ると、追われる立場の「Let’snote」のほうが若干不利な気もします。しかし「Let’snote」には堅牢性についてユーザーからの絶対的な信頼があり、そのブランド力は簡単には打ち崩せません。ソニー時代から含めると「VAIO」にも19年間続いたブランド力はありますが、信頼性の高いビジネスモバイル機としてのイメージはまだ「Let’snote」のほうが上です。
このことから、「VAIO Pro 13 | mk2」か「Let’snote」を比べるということは、VAIOのコストパフォーマンスとLet’snoteのブランド力を天秤にかけると言えるのではないでしょうか。性能についてはそれぞれ一長一短あり、なおかつ解決策もあります。記事タイトルで煽っておきながらなんですが、最終的には選ぶ人がなにを重視するかで変わってくるでしょう。
ちなみに筆者はどちらを選ぶか聞かれたら、迷わず「VAIO Pro 13 | mk2」のカスタマイズモデルをCore i3の最小構成モデルで購入します。「VAIO Pro 13 | mk2」のほうがデザインが好みというのもあるのですが、やっぱり安いのは魅力的です。またソニーストアでカスタマイズモデルを購入すると、メーカー保証の期間が無料で3年間に延長されるのも大きなメリットだと考えています。
また筆者は自宅で作業をすることが多く、外出先での作業は取材時のメモ程度ですので、それほど高い性能は必要ないというのもあります。モバイル向けに「VAIO Pro 13 | mk2」を使い、自宅で高性能なデスクトップパソコンを使ったほうが総合的な生産性は高く、なおかつ予算も安く抑えられるのではないかと思うのです。
メインで使うノートパソコンとしてなら、「Let’snote」を選ぶのをいいでしょう。特に堅牢性については長年の実績がありますので、長期間安心して持ち運び用途で使いたいという人にオススメです。自分の利用スタイルに応じて、最適な機種を選んでください。
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