iPhoneやXperiaの防水・防塵性能「IP67」「IP65/IP68」ってどんな意味?

防水・防塵性能「IP67」「IP65/IP68」ってどんな意味?
iPhone やXperiaシリーズ、Galaxy Sシリーズをなど一部のスマホでは、水の侵入を防ぐ「防水(ぼうすい)」機能や、チリ・ホコリなどの侵入を防ぐ「防塵(ぼうじん)」機能に対応しています。

その防水・防塵性能を表わす指標として、「IP68」や「IP/67」あるいは「IP65/IP68」といった表現が使われています。でもこの「IP68」がどれほどスゴイのか、いまいちわかりづらいですよね。お風呂のなかで使えるのか、水に落としても大丈夫なのか、雨の降るなかで使っても平気なのか、どれだけ耐えられるのかがわからない方も多いでしょう。

そこで今回は、スマホの防水・防塵機能として表されるこの「IP○○」の意味について解説します。

スマホの防水性能として表わされる「IP○○」とは?

「IP○○」とは「IPコード」と呼ばれるもので、「国際電気標準会議(IEC)」が規定した防水・防塵性能の等級を表わすものです。日本でも「日本工業規格(JIS)」が採用しており、国内の製品でよく使われています。

「IP」のあとに続く2ケタの数字のうち第一記号(前の数字、”第一特性数字”とも言う)は防塵性能の等級を表わし、第二記号(うしろの数字、”第二特性数字”とも言う)は防水等級を表わしています。たとえばiPhone XSの防水防塵性能は「IP68」ですので、防塵に関する等級が「6」で防水に関する等級が「8」ということなんですね。

なおそれぞれの等級(数字)の意味は、以下の表のとおりです。

第一記号に関して「人体及び固形物に対する保護」 ※防塵性能について

数字 種類 説明
0 保護なし ※テストを行なっていない
1 50mm以上の固形物に対する保護 直径50mmを超える固形物や人体の手足などが内部に侵入しない
2 12.5mm以上の固形物に対する保護 直径12.5mmを超える固形物や人体の指先、または80mm以下の体の一部などが内部に侵入しない
3 2.5mm以上の固形物に対する保護 直径または厚さが2.5mmを超える固形物が内部に侵入しない
4 1.0mm以上の固形物に対する保護 直径または厚さが1.0mmを超える固形物が内部に侵入しない
5 粉塵(粉のように細かなちり)に対する保護 粉塵が内部に侵入することを防止する。少量の粉塵が侵入しても、動作に支障をきたさない
6 すべての固形物に対する保護 あらゆる大きさの固形物、粉塵が内部に侵入しない

第二記号に関して「水の侵入に対する保護」 ※防水性能について

数字 種類 説明
0 保護なし ※テストを行なっていない
1 滴下する水に対する保護 鉛直(重力の働く方向)に落下する水滴を受けても、有害な影響がない
2 15°傾斜したときに落下する水に対する保護 対象物が正常な取り付け位置から15°以内の向きで傾いているとき、鉛直に落下する水滴を受けても有害な影響がない
3 噴霧水に対する保護 鉛直から60°以内の範囲で水滴が噴霧状に落下しても有害な影響がない
4 飛沫に対する保護 すべての方向からの水の飛沫を受けても有害な影響がない
5 噴流水に対する保護 すべての方向からいきおいのある水流を直接当てても有害な影響がない
6 波浪に対する保護 波浪、またはすべての方向から強いいきおいの水流を受けても有害な影響がない
7 水中への浸漬に対する保護 一定の水圧で一定時間(30分間)水中に浸かっても有害な影響がない
8 水没に対する保護 連続的に水中に置いても有害な影響がない。水没の条件については製造者が規定する。原則的に密閉構造であること

参考:JIS C 0920:2003 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)

表現が難しいので簡単に言うと、

  • IP68→細かなちりは完璧に防護、水没し続けても大丈夫
  • IP67→細かなちりは完璧の防護、水没は30分以内ならOK

ということです。

余談ですが、ドイツ工業規格にはIP69(IP69K)という規格(DIN40050-9)がありまして、粉塵の侵入を完全にシャットアウトした上で、高温・高圧の水流やジェット洗浄でも有害な影響を受けないとのことです。国内でも業務用機器でチラホラ使われています。

防水性能の過信には注意!

スマホが防水機能に対応していることから、「お風呂で使える!」とか「海のなかで写真や動画を撮れる!」と考えている方がいるかもしれません。IPコードはメーカーが実際にテストを行なった上で表記しているものですが、絶対に安心というわけではなく、あくまでも目安でしある点に注意してください。

たとえばAppleはiPhone  XS/XS Maxは防水・防塵性能をアピールしていながらも、液体による故障は保証しないとしています(リンク先 注釈3)。これには防水・防塵機能が長期間の使用により劣化するという理由もあります。

またテストでは通常は真水(たとえば試験対象との温度差は5度以内の水道水など)が使われるため、海水やお湯、あるいはなんらかの水溶水は対象外です。そのため海やお風呂、プールなどでは、メーカーが保証する防水性能は発揮されない可能性があります。

メーカーによっては「IP68だから水中でも使える」と表現している場合もありますが、これはその製品についてだけです。基本的にIPx8製品は長時間の水没に耐えるというだけで、すべての製品が水中で使えるわけではありません。

常識的な使い方の範囲内であれば、そうそう壊れることもないでしょう。ただし、あらゆる状況で完璧な性能を発揮できるというわけでもない点に注意してください。

「IP65/IP68」 のIPコードを併記する理由

一部の端末では、防水・防塵性能を表わす際に「IP65/IP68」や「IPX5/IPX8(IPX5/8)」・「IP6X」などと表記することがあります。これはいったいどういう意味でしょうか。

まず「IP65」は「粉塵の侵入を完全に防ぎ、かつ水流にも耐える」という意味で、もう一方の「IP68」は「粉塵の侵入を完全に防ぎ、かつ長時間水没しても影響がない」ことを表わします。

「IP65/IP68」と表記するのは「IP65」と「IP68」の両方のテストをクリアしていることを表わすためです。つまりまとめると「粉塵の侵入を完全に防ぎ、かつ水流や長時間の水没にも耐える」という意味ですね。

防水性能の「8」等級は「5」等級よりも優れているというわけではなく、製品や状況によっては「5」等級のほうが重視されるかもしれません。そこで、水没と噴流水の両方から保護できるという意味で「IP65/IP68」と両方記しているのです。

「IPX5」や「IP6X」など第一記号か第二記号のどちらかに「X」の文字が使われている場合、防塵または防水性能に関してのテストを行なっていないことを表わします。たとえば防水性能として「IPX5/IPX8」と表記されていたら、「水流や一定時間の水没にも耐えるけど、防塵については知らないヨ」という意味です。

水中での利用には防水ケースを

スマホの防水防塵機能は絶対に安心というわけではなく、お風呂や海などでは使わないほうが無難です。どうしてもお風呂や海で使いたい、もしくはより安心して使いたいなら、IPx8の防水機能(長時間の水没でもOK)対応の防水ケースをおすすめします。

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