「どんなパソコンを選べばいいのかわからない!」という大学生のために、パソコン選びのコツを紹介します。
ポイントは「軽さ」と「速さ」
筆者は以前に、某大手学生向けメディアが実施した「大学生に聞く”パソコンを買って失敗した”と思った理由」というアンケート結果を分析したことがあります。
その調査でもっとも多かったのが「重くて持ち歩きにくい」という意見です。その次は「処理が遅い」という意見で、このふたつの不満が全体の7割を占めていました。
大学生が感じたパソコンへの不満
- 重くて持ち歩けない
- 待ち時間が長くて思うように作業できない
このような経緯があるため、当サイトでは大学生向けのパソコンとして軽くて高性能なモバイルノートパソコンをおすすめしています。具体的には、以下の条件を満たす機種がベストです。
パソコン選びのポイント
- モバイルノートパソコンを選ぶ
- 画面サイズは12~14インチ
- 重さは1.5kg以内
- CPUは第8世代のCore i5/i7
- メモリーは8GB以上
- 256GB以上のSSD搭載
- バッテリー駆動時間は7時間以上
「ちょっとよくわからない」という人のために、続いては各ポイントをわかりやすく説明します。
人気は13インチのモバイルノートPC
パソコンには、ノートパソコン(ノートPC)とデスクトップパソコン(デスクトップPC)の2種類があります。多くの大学生には、ノートパソコンのほうがおすすめ。バッテリーを内蔵しているので、自宅だけでなく大学やカフェ、バイト先などでも利用できるからです。
ノートPCとデスクトップPCの違い
ノートPC | デスクトップPC |
---|---|
・バッテリー内蔵で持ち運べる ・設置スペースが小さい ・周辺機器の買い足しは不要 |
・ノートPCよりも高性能 ・電源に接続して利用 ・液晶ディスプレイが別途必要 |
ノートパソコンは、画面の大きさによって”モバイル用”と”据え置き用”の2種類に分類されます。モバイル用は軽くて持ち運びやすく、据え置き用は画面が大きくて作業しやすいのが特徴です。
ノートパソコンは画面の大きさによって本体サイズが変わります ※このほかにもサイズは細かく分類されています
画面の大きさが10~14インチ以内で重量が軽いものが、モバイルノートパソコンに分類されます。なかでも特に人気の高いのは13インチの機種。これは10~12インチよりも画面が大きくて見やすく、14~17インチよりも軽くて持ち運びやすいからです。
この人気の高い13インチのモデルを中心に、大学生活で使うノートパソコンを選ぶといいでしょう。15インチ以上のモデルは重くて厚く持ち運びにくいため、車で通学する人以外にはおすすめしません。
1.5kg以内の軽量モデルを選ぶ
パソコンを持って自宅と大学を行き来するなら、本体の重さも重要です。重さの感じ方は人によって異なりますが、筆者としては1.5kg以内が普通に持ち運べる重さだと考えています。
13インチモバイルノートパソコンの標準的な重さは1.0~1.2kgです。もっと軽いモデルもありますが、より軽くなるほど値段も高くなる傾向にあります。
13インチでも1kgを切る超軽量モデルもあります。重量がが軽いほど持ち運びが苦になりません
モバイルノートPCの重さの目安
1kg未満 | 快適に持ち運べる重さ |
---|---|
1.0~1.2kg前後 | 13インチタイプでは標準的 |
1.3~1.5kg前後 | 少しズッシリするけど普通に持ち運べる重さ |
1.6kg以上 | 日常的に持ち歩くには負担が大きい |
車を使って通学するなら、パソコンの重さを重視する必要はありません。しかしそれでも多少は持ち歩く場面があるわけですから、軽くて持ち運びやすいほうが有利です。
CPUには第8世代のCore i5を選ぶ
CPUはパソコンの中心部分となる部品で、この優劣によって快適さが大きく変わります。
モバイルノートPCでよく使われるCPU
CPU名 | 特徴 |
---|---|
Core i7(コアアイセブン) | 高性能な上級CPUで処理速度が速い |
Core i5(コアアイファイブ) | 中程度の性能と言われるが、処理速度は十分速い |
Core i3(コアアイスリー) | Core i5よりは劣るものの、実用的な性能 |
Celeron(セレロン) | 計算性能よりも省電力性能を重視した格安なCPU |
Atom(アトム) | 安さと省電力性能に特化したCPU |
CPUの性能が高いほど本体価格も高くなるので、パソコンの使い方によって最適なCPUを選ぶのが理想です。しかしどのCPUを選べばいいのかわからないなら、Core i5かCore i7を選んでおけば間違いありません。このCPUであれば、長期間問題なく利用できます。
Core i5とCore i7にもいくつか種類があります。おすすめは2018年3月時点で最新の「Core i5-8250U」と「Core i7-8550U」です。このふたつのCPUは、前世代のCPUから性能が飛躍的に向上しました。従来のCPUと区別するために「第8世代」と呼ばれることもあります。
CPUの性能比較(当サイト計測値の平均)
CINEBENCH R15のCPUスコア | |
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第8世代Core i7-8550U |
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第8世代Core i5-8250U |
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第7世代Core i7-7500U |
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第7世代Core i5-7200U |
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※結果は機種やパーツ構成、タイミングなどにより大きく変わります
もちろん旧世代のCore i5/i7でも、普通に使えます。CPU性能は少し低くなりますが、そのぶん本体価格が値下がりしているので、あえて旧モデルを選ぶのもアリです。
CPU選びの注意点
ノートパソコンの値段はできれば安く抑えたいものですが、価格だけを重視すると確実に失敗します。
まず注意していただきたいのは、Atomだけは絶対に選んではダメという点です。このCPUは性能がかなり低く、タブレットでネットや動画を見る程度にしか使えません。またCeleronは性能が高いものと低いものがいくつもある上に、快適に使うにはパソコンの高度な知識が必要です。パソコン初心者であれば、確実に高性能なCore i5/i7以上を選びましょう。
またCore i5/i7でも、Core i5-7Y54とCore i7-7Y75という性能が低いCPUがある点に注意してください。大学ではCore i5以上のCPUを推奨していることもありますが、Core i5-7Y54の性能は大学が想定している性能をかなり下回ります。
CPUの性能比較(当サイト計測値の平均)
CINEBENCH R15のCPUスコア | |
---|---|
Core i7-8550U |
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Core i5-8250U |
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Core i7-7500U |
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Core i5-7200U |
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Core i7-7Y75 |
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Core i5-7Y54 |
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※ベンチマーク結果は機種やパーツ構成、タイミングなどにより大きく変わります
第8世代Core i5がベストチョイス
ではCore i5とCore i7のどちらを選べばいいかという点ですが、年間100台以上のパソコンを検証している筆者としては値段と性能のバランスに優れるCore i5をおすすめします。最新の第8世代Core i5-8250Uなら非常に性能が高く、性能テストは前世代のCore i7よりも高い場合があるからです。
一部では「文系ならCore i5、理系ならCore i7」と説明していることもありますが、そんな区分けはまったく意味がありません。
たとえば以下の画像は、同じノートパソコンのCore i7-8550U搭載モデルとCore i5-8250U搭載モデルのテスト結果を比較したものです。CPU性能についてはCore i7はCore i5を10%上回る程度でしかありません。
Core i7-8550UとCore i5-8250Uのテスト結果
また機種によってはCore i7よりもCore i5のほうがテスト結果で上回る場合があります。これは本体の熱やメーカーのチューニング(設定)によってCPU性能が大きく上下するからです。
Core i7-8550U(上)とCore i5-8250U(下)のテスト結果 ※数値が高いほど高性能
少しでも性能を高くしたいならCore i7を選ぶのもアリですが、お得に入手するならCore i5をおすすめします。予算があるならCPUよりも、メモリーやSSDをアップグレードするほうが快適さは向上するでしょう。
メモリーとSSDも重要!
メモリーとストレージ(ファイルを記録する場所)も、CPUと同じくらい重要な要素です。CPUの性能を活かすには、このふたつの部品についても高性能なものを選ぶ必要があります。
メモリー容量は8GB以上推奨
メモリー容量が多いほど、パソコンは複数の作業をスムーズにこなせます。安いパソコンではメモリー容量が4GBの場合がありますが、これからしばらく使い続けるのなら8GB以上がおすすめ。4GBでも作業は可能ですが、少し待ち時間が長くなるので注意してください。おそらくあと数年すれば、16GBメモリーがスタンダードになるはずです。
なお理系分野で研究にプログラミング言語や高度なソフトを使うなら、8GBのメモリー容量では厳しい場合があります。内容によって16~32GB必要になることもありますが、具体的にどの程度必要になるかは分野によって異なるため一概にはこれとは言えません。しかしメモリー増設が簡単な機種を選ぶことで、あとからメモリー容量をアップグレードすることは可能です。
HDDよりも高速なSSDを選ぶ
モバイルノートパソコンではストレージ(ファイルの保管場所)にSSDがよく使われますが、なかにはHDD(ハードディスク)が使われているモデルもあります。HDD搭載で安い機種があっても、SSD搭載機種を選びましょう。なぜならパソコンの快適さが大きく変わるからです。
SSDを使うメリット
- パソコンの起動が早い
- ファイルのやり取りが早い
- ソフトの起動が高速化
- HDDよりも振動に強い
SSDの容量は、256GBが標準的です。容量が少ないと写真や動画を保存するのが厳しくなってきますが、必要に応じて外付けHDDなどを用意するといいでしょう。
バッテリー駆動時間にも注意
外出先で利用することが多いなら、バッテリー駆動時間もチェックしておきましょう。最近のモバイルノートパソコンはどれもバッテリー駆動時間が長く、1日程度であれば問題なく利用できます。ただし画面の明るさを最大にしたりゲームで遊んだりすると、バッテリー駆動時間は短くなるので注意してください。
目安としてはメーカー公称値で7時間以上のモデルをおすすめします。実際にはメーカー公称値どおりにバッテリーがもつわけではありませんが、公称値がこれくらいであれば数時間は駆動し続けるはずです。大学によってはコンセントを使える場合もあるので、駆動時間が短いモデルならこまめに充電することをおすすめします。
オフィスは必要?
大学生活ではレポートや卒業論文などを作成するためにもパソコンを使いますが、そんなときにあると便利なのがマイクロソフトのオフィス製品です。レポートや卒論にはワード、統計データや金銭の集計などにはエクセルがよく使われます。就職後は確実にオフィスを使うことになるので、いまからスキルを身に着けておくとなにかと有利です。
各ソフトの役割
ソフト名 | 使いみち |
---|---|
Word(ワード) | 長文作成用のワープロソフト。レポートや論文作成には必須 |
Excel(エクセル) | 数値データを操作する表計算ソフト。表やグラフを作成するのにも便利 |
Outlook(アウトルック) | メールやスケジュールの管理ソフト |
PowerPoint(パワーポイント) | プレゼン資料作成ソフト。クラスやゼミの研究発表にあると便利 |
OneNote(ワンノート) | デジタルメモソフト。授業やサークル用のメモにも使える |
学生向けにオフィスを無料で提供する大学もあります。このような場合は自分でオフィスを追加購入する必要はありませんが、卒業後は使えなくなる点に注意してください。自分で購入する場合はオフィスの種類に気をつけましょう。
付属オフィスの種類
Office Home and Business Premium | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
---|---|---|---|---|---|
Office Personal Premium |
◯ | ◯ | ◯ | × | × |
長く快適に使える機種を選ぼう
大学で使うパソコンは、パワフルな最上位機種である必要はありません。しかし在学中にトラブルなく使い続けるのであれば、それなりに高性能なモデルをおすすめします。高性能なモデルであればメーカーのサポート面もしっかりしていますし、保証も充実している点が魅力です。
そうは言っても予算がない場合は、1~2年だけ使うつもりで格安なモデルを入手するのもアリです。ただし長期間使い続けるのには性能的に厳しいので、早々に買い換えることをおすすめします。