ファーウェイ・ジャパンの「Huawei P8lite(以下、P8lite)」は、端末価格2万8600円(税別)の格安なSIMフリースマートフォンです。その魅力のひとつに、8個のコアを搭載した「オクタコア」のプロセッサー「Kirin 620」を採用している点が挙げられます。このプロセッサーが実際にどれほどの性能を持っているのか、各種ベンチマークアプリを使ってその実力を検証しました。
なお今回は、ファーウェイ・ジャパン主催の「ファーウェイP8lite & TalkBand B2ブロガー体験イベント」でモニター提供いただいた端末を使用しています。
お知らせ
この機種はすでに販売が終了しています。
オクタコアプロセッサー「Kirin 620」とは?
ベンチマーク結果を紹介する前に、まずはP8liteのスペックを紹介しましょう。主な仕様は以下の表のとおりです。
P8liteの主なスペック | |
OS | Android™ 5.0 Lollipop/Emotion UI3.1 |
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プロセッサー | HiSilicon Kirin 620(ARM A53/1.2GHz) |
ディスプレイ | 5.0インチ(720×1280ドット)、IPS |
メモリー | 2GB |
ストレージ | 16GB |
カメラ | インカメラ:500万画素(開口部F2.4)/メインカメラ:1300万画素(開口部F2.0) |
バッテリー容量 | 2200mAh |
サイズ | 幅143×奥行き71×高さ7.7mm |
重量 | 約131g |
SIMスロット | マイクロSIM |
スペックで注目したい点は、プロセッサーに使われているHiSilicon社製の「Kirin 620」です。このプロセッサーには合計で8つのコア(処理を行なう中心部分)が搭載され、それぞれのコアで作業を分担することで重い処理でも軽快にこなすことが可能です。
オクタコアと言うと非常に高性能なイメージですが、実際のところ総合的な性能はミドルレンジ(中級者向け、標準的なの意)相当です。これはコアに使われているCortex-A53(動作周波数1.2GHz)の性能がそれほど高くはないため。とは言っても、8個のコアで作業を分担するわけですから、それなりのパワーはあります。また軽めの処理では動作するコアの数を減らすことで、バッテリー消費を押さえる効果もあります。
本来の性能を引き出すには電力設定が必要
今回の検証にあたってベンチマークアプリを試してみたところ、思っていたよりもスコアが伸びませんでした。そのうちのひとつ「3DMark」では、こんなメッセージが表示されています。
それもそのはず、P8liteの省電力設定がパワーを押さえる「スマート」に設定されていました。本来の性能を十分に引き出すには「パフォーマンス」を選択しなければなりません。うっかりしていました。
もしP8liteを使っていて「遅いな」と感じたら、省電力設定を「パフォーマンス」に変更してみてください。さらにそのあとに端末を再起動することで、より高速化されることもあります。ホーム画面にある「最適化」アプリが50以下に表示されていれば、十分なパフォーマンスを発揮できるはずです。
ベンチマーク結果を紹介!
それでは、実際にP8liteで検証したベンチマークアプリのスコアを紹介しましょう。
AnTuTu Benchmark v5.7.1
Android端末の定番ベンチマークアプリである「AnTuTu Benchmark」では、総合スコアで「35089」という結果となりました。性能的には、Google NEXUS 5と同程度とのことです。これよりもスコアの高い端末はありますが、どれも数万円以上の端末ばかり。2万円台(税込みで3万円台)であることを考えれば、十分満足できる結果と言えます。
3DMark
ゲームプレー時の3D性能を計測する「3DMark」では、もっとも負荷の軽い「Ice Storm」で「6023」という結果でした。総合的レーティングとしては星2個半の標準的な評価ではありますが、3D性能の面ではそれほどハイスペックというわけではありません。今後登場する、より高度なゲームアプリはプレーできない可能性もあります。
ベンチマーク結果はそれほど良くありませんでしたが、実際にはほとんどのゲームは問題なくプレーできるはずです。実際に「白猫プロジェクト」をプレーしましたが、ストレスを感じる場面はありませんでした。
Geekbench 3
CPU性能を計測する「Geekbench 3」では、シングルコアのテストで「584」、マルチコアのテストで「2767」という結果となりました。コア単体の性能では7型タブレットの「Google NEXUS 7(2013)」と同程度ですが、8個のコアで動作することでフラグシップモデル並みの性能が出ています。オクタコアの実力がフルに発揮されていると見ていいでしょう。
PCMark
ネットの閲覧や文書作成などビジネス系の作業の快適さを計測する「PCMark」の「Work Performance」では「3765」という結果となりました。評価としては比較的高めで、上位機種と比べてもスコアに大きな差がついているわけではありません。格安モデルとしては、十分満足できる結果と言えます。
バッテリー性能をテストする「PCMark」の「Work battery life」では、「6時間28分」という結果となりました。これは上記「Work Performance」のテストを連続して実行したときの駆動時間ですから、負荷はかなり高めです。実際に「PCMark」の評価でも、かなり上位の部類に入っています。
ちなみに満充電の状態から「省電力」設定を「スマート」に変えてそのまま放置していたところ、10時間以上たってもバッテリーは3%しか消費されませんでした。このままのペースを持続すれば、待ち受け状態で約30時間はもつことになります(実際にこれだけもつかはわかりませんが)。P8liteのバッテリー性能は、かなり高いと見ていいはずです。
格安な端末としては十分なパワー
今回はP8liteでさまざまなベンチマークアプリを試してみたわけですが、性能的にはフラグシップモデルに相当する部分もあり、十分満足できる結果であったと思います。ほかにもいくつかアプリを試していますが、いまのとこと遅いと感じたことはありません(通信速度は別ですが……)。格安スマホは遅いというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、P8liteは安さと高い性能を備えた、コストパフォーマンスの高いスマートフォンだと言えるでしょう。