レノボの「IdeaPad Slim 170 15.6型 (AMD)」(以下、”IdeaPad Slim 170″)は、リーズナブルな15.6インチノートPCです。価格は最安のAthlonモデルでほぼ4万円程度(2022年2月中旬時点)から。ただし品質面は価格相応で、性能はそれほど高くありません。割り切って使う人向きです。
IdeaPad Slim 170 15.6型 (AMD)
ポイント
- 😄 最安4万円前後から
- 😄 テンキー付き
- 🙄 画面が見づらい
- 🙄 性能が低い
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
スペック
OS | Windows 11 Home |
---|---|
ディスプレイ | 15.6インチ 1920×1080 TN 非光沢 タッチ非対応 |
CPU | Athlon Gold 3150U / Ryzen 3 3250U / Ryzen 5 3500U |
メモリー | 4GB / 8GB ※オンボード |
ストレージ | 128 / 256GB SSD |
グラフィックス | Radeon(Athlon、Ryzen 3)/ Radeon Vega 8(Ryzen 5) |
通信 | 11a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.0 |
インターフェース | USB3.2 Gen1 Type-C×1(データ通信のみ)、USB3.2 Gen1×1、USB2.0×1、HDMI、ヘッドフォン出力、SDカードスロット |
生体認証 | なし |
サイズ / 重量 | 幅360.2×奥行き236×高さ17.9mm / 約1.6kg |
バッテリー | 約9.8~12時間 |
本体デザイン
IdeaPad Slim 170の外観。本体カラーはクラウドグレーとされていますが、実際のカラーは明るいシルバーです
基本的には低価格帯のノートPCのため、外観はやや安っぽく感じます。本体は樹脂(プラスチック)製で、ツルツルとした手触り
スリムなフォルム
パームレストはシルバーで、キーはダークグレー。レノボのIdeaPadシリーズではおなじみのデザイン
ディスプレイは180度近くまで開きますが、視野角が狭いのでこの状態では画面の内容がよく見えません
ベゼルは標準的な太さ。価格が安いわりには、いまどきのデザインです
インターフェースは多くはありませんが、一般的な作業には支障がないレベル。ただしType-C端子がデータ通信のみである点は残念です
電源アダプターは65Wの丸口タイプ。重さは343g
Webカメラは100万画素でプライバシーシャッター付き
スピーカーは底面部の左右に配置されています
排気口は背面側ですが、使用中は排気がディスプレイに当たります
底面はダークグレー。排気口のみのシンプルな作りです
サイズと重量
本体サイズは幅360.2mm、奥行き236mm
A4ノート(ピンク)とB5ノート(ブルー)とのサイズ比較。B4サイズよりもひと回り小さい程度で、15.6インチタイプとしては標準的な大きさです
厚さは実測で18.2mm、底面部のゴム足を含めた設置時の高さは22.3mm
本体背面。本体自体はそこそこスリムですが、ゴム足が高いので設置時にはやや厚く見えます
重量は実測で1.626kg。軽々と持ち運べるほどではありませんが、15.6インチタイプとしては軽量です
ディスプレイについて
画面サイズは15.6インチ。解像度は1920×1080ドット
デスクトップの文字は2~2.8mm程度で、やや小さめです(標準のスケーリングは125%)
TNパネルによる映像はコントラストが低く、やや青みがかって見えます
IPS相当のパネルのほうが自然な色合いで、メリハリもハッキリしています ※写真は別の機種
文字主体の文書や寒色系の写真/動画であれば、色に違和感はありません。ただし暖色系の写真では鮮やかさが足りないように感じるでしょう
TNパネルは視野角が狭く、画面の角度を変えると色や明るさが大きく変わります
画面はやや暗く感じます。またコントラストが低いため文字がかすれるように見えたり、マウスカーソルを見失う場面がたびたびありました
キーボードについて
キーボードはテンキーありの日本語配列。バックライトは非対応です
Enterキー周辺で一部のキーが隣接しているほか、「¥」キーがかなり小さく作られています。テンキーは標準的な4列構成
キーピッチは実測で18.5mm、キーストロークは実測で約1.2mm。キーピッチが狭いので、やや窮屈に感じます。キートップはややザラついた手触り
押した瞬間のクリック感は固いものの、ストロークが浅いのでタイプ感は軽め。指を上げ下ろして打つよりも、キーから離さずになでるように打つ人向け
タイプ音は強く叩くとパチパチと響きますが、軽いタッチならカタカタと比較的静か
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 5 3500U |
---|---|
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD |
グラフィックス | Radeon Vega 8(CPU内蔵) |
※各ベンチマークテストはWindows 11の電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、電源アダプターに接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、AMDのAthlon / Ryzen3000シリーズが使われています。Ryzenシリーズは4000番台で性能が大きく向上しましたが、3000番台は性能がいまひとつです。CPU性能を計測するベンチマークテストを行なったところ、第11世代のCore i3と同程度のスコアでした。ノートPC向けCPU全体では「中の中」クラス。普段使いや軽めの作業向けです。
CPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark 10 CPU Markスコア |
---|---|
Ryzen 7 5800U |
19202
|
Ryzen 7 5700U |
18089
|
Core i7-1185G7 |
13135
|
Core i7-11370H |
13075
|
Core i5-11300H |
12783
|
Ryzen 5 5500U |
12362
|
Core i7-1165G7 |
11723
|
Core i5-1135G7 |
11249
|
Ryzen 3 5300U |
9527
|
Ryzen 5 3500U |
7650
|
IdeaPad Slim 170(Ryzen 5 3500U) |
7004
|
Core i3-1115G4 |
6750
|
Ryzen 3 3250U |
4441
|
Athlon Silver 3050U |
3351
|
Celeron 6305 |
2302
|
Celeron N4500 |
2284
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
Ryzen 3 3250UやAthlon Gold 3150Uでは、さらにパフォーマンスが落ちると思われます。特にメモリー容量の少ないAthlonモデルでは、ネットの調べ物や動画視聴など、ごく軽めの作業程度と考えたほうがいいでしょう。
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵グラフィックスのRadeon Vega 8 (Ryzen 5)またはRadeon Graphics (Athlon / Ryzen 3)が使われます。
Ryzen 3000シリーズが登場した2019年では、当時の第8世代Coreプロセッサよりもグラフィックス性能が高いと言われていました。しかし内蔵グラフィックスが大きく進化したいまとなっては、もはやかなり時代遅れの性能です。ゲームはもちろん、クリエイター向けソフトでの効果も考えないほうがいいでしょう。
GPUの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3241
|
MX450 |
1996
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) |
1528
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4x) |
1302
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
1149
|
Radeon (Ryzen 7) |
1000
|
Iris Xe(Core i5+DDR4) |
977
|
Iris Plus |
812
|
Radeon (Ryzen 5) |
784
|
Radeon (Ryzen 3 4000~) |
619
|
IdeaPad Slim 170(Radeon Vega8) |
540
|
UHD |
407
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPUの性能差(DirectX 11)
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
8513
|
MX450 |
4900
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) |
4734
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4x) |
4059
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
3420
|
Radeon (Ryzen 7) |
3384
|
Iris Plus |
2880
|
Radeon (Ryzen 5) |
2652
|
Iris Xe(Core i5+DDR4) |
2474
|
Radeon (Ryzen 3 4000~) |
2324
|
IdeaPad Slim 170(Radeon Vega8) |
1606
|
UHD |
1335
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。
Ryzen 5 3500U搭載の試用機では一般利用とビジネス利用の目標値はクリアーしたものの、コンテンツ制作の目標値を下回る結果でした。パフォーマンス的には2~3世代前のノートPCと同程度です。あくまでも軽めの作業用と考えてください。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
7025
9784
9925
9667
9418 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
5687
6630
9276
8530
7927 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
3005
4840
6814
8109
8486 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
▶THIRDWAVE DX-T7 | Core i7-1165G7 / 16GB |
---|---|
▶IdeaPad Slim 560 Pro | Ryzen 7 5800H / 16GB / GTX 1650 |
▶Inspiron 16 Plus | Core i7-11800 / 16GB / RTX 3050 |
▶raytrek R5-CA | Core i7-10875H / 16GB / RTX 3060 |
ゲーム性能
Ryzen 5 3500U搭載モデルでゲーム系ベンチマークテストを行なったところ、ごくごく軽い3Dゲームのドラクエ10で画質を落とせばなんとか快適というレベルでした。少しでも重いゲームは、かなり厳しいと思われます。2D描画主体の小中規模タイトルや、ごくごく軽い3Dゲーム、カードゲームやボードゲームなどに向きです。
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 460 / 動作困難 |
標準品質 | 766 / 動作困難 |
軽量品質 | 990 / 動作困難 |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 1253 / 8 FPS |
高品質 | 1645 / 10.8 FPS |
標準品質 | 1964 / 13.1 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 3893 / 普通 |
標準品質 | 5490 / 快適 |
低品質 | 5960 / 快適 |
※1920×1080ドットの結果
格安だけどやや割高感あり
今回試用したRyzen 5 3500Uモデルは直販サイトで5万2000円前後、最安のAthlonモデルなら4万円程度で購入できます。
最大の魅力は値段の安さですが、個人的にはコスパはいまいちな印象。「使いやすさ」を考えるなら、5000円から1万円程度上乗せして、Ryzen 4000 / 5000シリーズ搭載&IPSパネルの機種を買うべきだと思います。どうしても5万円前後でノートPCを用意しなければならないというのであれば、アリかもしれません。
ただしセールで現在の価格よりもお得に入手できるなら、検討する価値はあるでしょう。たとえば楽天やPayPyaモール(Yahoo!ショッピング)、リーベイツのポイント還元で実質価格をグッと抑えられるなら、割り切って買うには問題ないと思います。初心者が値段重視で買うのは避けたほうが無難です。
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