レノボの「ThinkCentre M75s Gmall Gen2(以下、M75s Gen2)」は、Ryzen PRO 4000Gシリーズを搭載するスリム型のデスクトップPCです。注文時のカスタマイズでパーツをダウングレード/省略すると4~5万円台で購入できることから、激安なのに超高性能なPCとして人気を集めています。
発売は2020年12月頭でしたが、2020年の年末から2021年初頭にかけてようやく実機が到着しはじめました。ユーザーによる情報がぼちぼち上がってくるとともに、予想とは違っていた部分も明らかになりつつあります。
筆者が注文した実機でもいろいろと予想外の部分があり、その対応で検証が遅れています。そこで情報提供や実機確認で把握している情報と解決案をまとめました。まだ未解決の部分もあるので、情報については随時更新する予定です。
M.2用のブラケットがない
レノボのデスクトップPCでは、M.2スロットがマザーボードの端ギリギリに配置されていることがよくあります。そのためSSDやWi-Fiカードの固定には、ブラケットが利用されています。
たとえばこんな感じ ※写真はLenovo V55t
筆者がM75s Gen2をSSDなしの最小構成で購入したところ、M.2スロット用のブラケットが付いていませんでした。そのままではSSDやWi-Fiカードを固定できません。
M75s Gen2のM.2スロット ※SSD&Wi-Fiなしカスタマイズの場合
そのままではSSDを増設できない問題に対して、いくつかの解決策が考えられます。
拡張スロット用アダプターを使う
一番お手軽なのは、拡張スロット用のSSDアダプターを使う方法だと思います。ロープロファイル用のアダプターにSSDをセットしてPCIeスロットに挿せばOK。スロットをひとつ埋めてしまいますが、ほかに拡張カード(グラボなど)を使わないならアリではないでしょうか。グラボが1スロット占有タイプであれば、干渉することなく同時に使えるかもしれません。
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2.5インチSSDを使う
速度は落ちるものの、M.2 SSDの代わりに2.5インチのSATA接続SSDを使う方法もあります。ただしM75s Gen2には2.5インチ用のドライブベイはあるものの、取り付けにはブラケットが必要。そのままではドライブベイには(ちゃんと)固定できません。
2.5インチ用ドライブベイに、2.5インチストレージがそのままでは固定できません
レノボの公式サイトで、2.5インチ用のブラケットが販売されていました。これが合うかはわかりませんが、とりあえず注文したので後日報告します。
レノボ公式サイトで販売されている2.5インチ用ブラケット類
リンク
ThinkCentre 2.5インチ ストレージキット(Tower用)
あるいは拡張スロットのスペースを利用するマウンタでもイイかもしれません。
別売りのブラケットを改造する
レノボの公式サイトでは、M.2用のブラケットが販売されています。ただ形状やサイズを考えると、うまく収まりそうにありません。とは言え、もしかするとパーツを改造することでうまく流用できるかも……、ということでこのパーツも購入してみました。ただ、使える可能性は低そうなんですよね……。
別売りのブラケット
リンク
ThinkCentre M.2ソリッドステートドライブ用トレー
ちなみにM75s Gen2用の純正パーツはこんな感じ。
本来はこんな形状のパーツが使われています
DIYで乗り切る
工作でSSDやWi-Fiカードを固定する方法です。わりとこのあたりが現実的な感じもします。ストレージ用M.2スロットの場合だとケース内面からスロット底面部まで約1.5cm程度あり(筆者所有の実機の場合)、そのぶんの厚みをなんらかの素材で埋めれば固定できる可能性があります。実際にコルク材や割り箸などが使われているようですが、とりあえず筆者は放熱シリコンパッドを重ねて台替わりにできないかと考えています。
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使えるグラボがない
M75s Gen2では、PCI Express x16スロットが1基用意されています。さらに電源容量を310Wまでアップグレードできるので「ひょっとしたらグラボを使えるかも!?」と考えていたのですが、現実はそう甘くはありませんでした。
M75s Gen2の拡張スロットを確認している様子
M75s Gen2でグラボを使うには、グラボ側が以下の条件に合っていなければなりません。
M75sで使えるグラボの条件
- 長さは15.6cm以内
- 310W以内で動作(電源アップグレード時)
- 補助電源は6/8ピンまで(電源アップグレード時)
- ロープロファイル専用
- 1/2スロット占有タイプ
意外に条件はゆるそうに見えますが、長さ15.6cm以内でロープロファイルのグラボがなかなかありません。あったとしてもGeForce GT 710やGeForce GT 1030程度で、APU内蔵グラフィックスよりも性能が低い可能性があります。つまりパフォーマンスで考えるなら、現時点ではグラボを挿しても意味がないということです。ただしVGA(D-sub15ピン)やDVI、HDMI2.0(本体側のHDMIは1.4)などを利用するのであれば利用する意味はあります。
なお今後新しいグラボが発売されれば、使えるチャンスはあります。それまで気長に待つことをおすすめします(310W電源を選んだ自分への言い聞かせ)。
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とりあえず現時点で把握している問題点と解決案については以上です。もしかすると新たな問題点や解決策が出てくるかもしれません。そのときはこのページか、当サイトのtwitterアカウントでお知らせします。
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