いまどきのノートPCは、CPUがCore i5でメモリーは8GB、ストレージは256GB SSDの組み合わせが人気です。「とりあえずこの構成なら確実に快適」と評価されていることから、この組み合わせことを”鉄板構成“とも呼びます。
鉄板構成のノートPCは仕事でPCを使う人だけでなく、PC初心者にもおすすめです。高性能なだけに値段も高いかと思うかもしれませんが、最近はそこまで高くはありません。以前は10万円近くでしたが近ごろは7~8万円台あたりも多く、なかには6万円台の安い機種もあります。
そこで今回はCore i5 + 8GBメモリー + SSDを搭載した機種のなかから、6~9万円台の手ごろな値段を中心に使いやすいおすすめのノートPCを紹介します。
目次
なぜ鉄板構成がおすすめなのか?
初心者に高性能な”鉄板構成”が必要な理由
先ほど「鉄板構成のノートPCは初心者にもおすすめ」と言いましたが、厳密に言えばこれは正しくありません。正しくは「初心者こそ鉄板構成のノートPCを使うべき」です。
PCに慣れた人ならともかく、なぜ初心者に高性能なノートPCが必要なのでしょうか。それは、性能が低いことが原因のトラブルやストレスを未然に防ぐためです。
PCの低価格モデルは「エントリーモデル」と呼ばれていますが、この「エントリー (entry)」とは「入り口」のこと。つまりこれからPCを始める初心者のための入門用モデル、という意味があります。スポーツや趣味の世界でも安い道具は入門用とされていますが、それと同じです。
PCでよく使われる「エントリー」とは「入門用」のこと
安い道具だと壊れやすいことがありますが、最近のノートPCはとても頑丈に作られているので、普通に使っていれば簡単に壊れることはありません。その代わりに遅い、つまり処理の待ち時間が長いのです。
どれくらいの時間を長いと感じるかは人それぞれですが、いま売られているノートPCのなかで性能が低いものだと起動に1分くらいかかり、そのあと3~5分くらいは反応が鈍くて操作できません。しかもこの待ち時間は、使い続けるほどどんどん長くなるのです。
PCの状態を確認している様子。性能の低いPCでは処理時に時間がかかり、そのぶん待ち時間が長くなります
また初心者だと気が付かないうちに重い (高負荷で時間がかかる)処理を実行してしまうことがあります。待ち時間がとんでもなく長くなる上に、場合によってはパソコンが反応しなくなることも。
こんなときに電源を落としたりすると作業中の内容が失われてしまったり、タイミングが悪いと故障の原因になりかねません。よく知らないまま低スペックのパソコンを使うとトラブルが起こりやすいのです。
しかしCore i5 + 8GBメモリー + 256GB SSDの鉄板構成であれば、そんな心配は必要ありません。トラブルの可能性はゼロではありませんが、安い入門用のパソコンよりもグッと下がります。これはCPUとメモリー、ストレージの品質が、パソコン全体の性能に強く影響するため。ここをしっかり押さえておけば、不具合で困る場面は少ないでしょう。
安くて性能の低いパソコンはエントリー向け (入門用)とされていますが、しっかり使いこなすには相当な知識やテクニックが必要です。トラブルで余計な時間をかけたりストレスでイライラするのがイヤなら、高性能な鉄板構成のパソコンを選んでください。
Core i5はどのくらいの性能なの?
ここからは少し技術的なことについて解説します。パソコン初心者の方は読み飛ばしていただいても構いません。
インテル製CPUにはさまざまな種類がありますが、そのなかでCore i5は中位クラスに相当します。と言っても性能も中くらいというわけではなく、どちらかと言えば上位より。一般用途向けのノートPCではCore i9はほとんど使われないため、実質Core i7に次ぐナンバー2という位置付けです。
インテル製CPUの分類
Core i7、i9 (上位) | とにかく性能重視 |
---|---|
Core i5 (中位) | 性能と価格のバランスを重視 |
Core i3 (下位) | 計算性能よりも価格の安さを重視 |
Celeron、Pentium (最下位) | とにかく安さ重視 |
2021年9月時点で使われているCore i5は以下のとおりです。基本的には新しいほうが高性能と考えてください。また2017年8月以前のモデルはCPU性能が極端に劣るので、買わないほうが無難です。
現在使われている主なCore i5
Core i5-1135G7 | 第11世代Tiger Lake UP3。強化されたグラフィックス機能「Iris Xe」を内蔵。現在の主流 |
---|---|
Core i5-1130G7 | 第11世代Tiger Lake UP4。消費電力を抑えた省電力版でパワーは抑えめ |
Core i5-11300H Core i5-11320H |
第11世代Tiger Lake H35。薄型ノートPC向けの強化版CPU |
Core i5-11400H | 第11世代Tiger Lake H45。ゲーミングノートPC向け |
Core i5-1035G4 | 第10世代 Ice Lake。Iris Plusを内蔵したグラフィックス強化版。2020年の高級機で使われた |
Core i5-1035G1 | 第10世代 Ice Lake。グラフィックス性能がやや高い。2020年に多く使われた |
Core i5-10210U | 第10世代 Comet Lake。2020年のビジネス向けノートPCで主流だった |
Core i5-8265U | 第8世代Whisky Lake。2019年の主流 |
Core i5-8250U | 第8世代Kaby Lake-R。2017~2018年の主流だった |
Core i5の性能は、ノートPC向けCPUのなかで中位クラスに位置します。第8世代の古いCore i5は性能がやや控えめですが、普段使いや軽めのビジネス作業には十分な性能です。第11世代のCore i5であれば、そこそこ重めの処理でも活用できるでしょう。
CPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark 9.0 CPU Markスコア |
---|---|
Ryzen 7 5800U |
18795
|
Ryzen 7 5700U |
18449
|
Core i5-11400H |
16772
|
Ryzen 5 5500U |
14737
|
Core i5-11300H |
12989
|
Core i7-1165G7 |
12690
|
Core i5-1135G7 |
11434
|
Core i5-1035G4 |
10844
|
Core i5-1035G1 |
9667
|
Ryzen 3 5300U |
9550
|
Core i5-10210U |
9329
|
Core i5-8265U |
8673
|
Core i5-8250U |
8385
|
Core i3-1115G4 |
7398
|
Ryzen 3 3250U |
5202
|
Athlon Silver 3050U |
3851
|
Celeron 6305 |
2796
|
Celeron N4500 |
2010
|
※スコアは当サイト計測値の平均。値が大きいほど高性能であることを表わします
なぜ8GBメモリーが必要なのか?
10年前のノートPCでは4GBメモリーで大容量でしたが、いまは必要最低限の容量でしかありません。ウィンドウズだけを快適に使うなら少なくとも8GBは必要で、高度な処理を行なうなら16GB以上の容量が求められます。これは、扱うデータ (文章や画像、動画など)や処理が昔よりも高度化 / 大規模化しているためです。
たとえば写真がきめ細かくキレイであるほどデータは大きくなり、そのデータを一時的に保管するメモリーの容量を圧迫します。データ量がメモリーに収まりきらないほど巨大になると、ウィンドウズはオーバーしたぶんを一時的にストレージに記録。しかしストレージはメモリーよりもはるかに遅く、データの読み書きに時間がかかります。この時間が待ち時間となるのです。
昔に比べて写真のデータ量が大きくなり、そのぶん多くのメモリーが使われるようになりました
10年前は扱うデータや処理が小規模でしたので、2~4GBのメモリーでも十分でした。しかしいまでは扱うデータも使うソフトも、そしてウィンドウズそのものも大幅に高度化しています。その大量のデータを効率的にさばき切るために、いまは8GB以上のメモリーが必要なのです。
なぜHDDではなくSSDなのか?
SSDはHDDよりもアクセスが速い点が特徴です。SSDにもいくつか種類はありますが、最近は概ねPCIe接続のSSDがよく使われています。
ストレージ別のアクセス速度の違い
アクセスが速いとファイルのやりとりが高速化されるだけでなく、ウィンドウズの体感速度が大きく変わります。具体的な効果は以下のとおりです。
SSD使ったときの効果
- ・ウィンドウズの起動時間が大幅に短縮
- ・Windows Updateが早く終わる
- ・ソフト / アプリの起動が速い
- ・ウイルススキャンにかかる時間が短縮
ウィンドウズの起動時間についてはHDDだと40秒から1分以上かかることがありますが、SSDだと平均16~17秒程度です。速いものだと10秒かからないこともあります。またWindows Updateやセキュリティースキャンなどファイルの読み書きが発生する処理も、SSDなら素早く終わります。
いまやSSDは、パソコンを快適に使うための必須パーツです。CPUをCore i5からCore i7にアップグレードするよりも、HDDをSSDに変更するほうが大きな効果を感じられるでしょう。
15.6インチ以上 (光学ドライブ搭載)
まずはもっとも人気の高い、15.6インチ & 光学ドライブ付きのモデルから。DVDスーパーマルチドライブが付いていると、DVD / CDの再生や書き込みが可能です。市販DVDの視聴や音楽CDの再生、DVD版ソフトのインストールやDVDビデオの作成などに使えます。
DVDの再生と書き込みが可能なDVDスーパーマルチドライブ
LIFEBOOK WAB/F1
- メーカー:富士通
- CPU:Core i5-10210U
- メモリー:8GB
- ストレージ:256GB SSD
- 解像度:1366×768(TN)
- バッテリー:約9.7時間
第10世代のCore i5を搭載したモデル。DVDの再生と書き込みが可能で有線LANにも対応しているほか、「筆ぐるめ27」などのソフトも付いています。ディスプレイは解像度の低いTNパネルなので、外付けディスプレイにつなげて使うといいでしょう。大手国内ブランドならではの安心感と手厚いサポートを重視したい人におすすめ。
※2021年9月23日時点
LAVIE Direct NS (NSLAB598NSHZ1W)
- メーカー:NEC
- CPU:Core i5-8265U
- メモリー:8GB
- ストレージ:128GB SSD + 1TB HDD
- 解像度:1920×1080(TN)
- バッテリー:約10.3時間
第8世代のCore i5を搭載したモデル。CPU性能はやや低いものの、標準的な機能がひととおり揃って7万円台はなかなかお買い得です。ただしディスプレイには、やや青みが強いTNパネルが使われています。大手国内ブランドならではの安心感と手厚いサポートを重視したい人におすすめ。
※2021年9月23日時点
dynabook AZ66/MG
- メーカー:Dynabook
- CPU:Core i5-10210U
- メモリー:8GB
- ストレージ:256GB SSD
- 解像度:1920×1080(IPS)
- バッテリー:約9時間
16.1インチのやや大きなディスプレイを搭載する機種。画面は見やすいIPSパネルで、Wi-Fi6にも対応。「筆ぐるめ27」などのソフトが付属するほか、大手ブランドならではの手厚いサポートや安心感が魅力です。
※2021年9月23日時点
15.6インチ (光学ドライブなし)
光学ドライブのない15.6インチタイプはスリムかつコンパクトで、デザインがいい点が魅力です。DVDを使う機会がない人は、こちらを選んでみてはいかがでしょうか。
光学ドライブがないぶん、スリムなモデルが多く見られます
Vostro 15 3000(3500) 限定プレミアムモデル
- メーカー:デル
- CPU:Core i5-1135G7
- メモリー:8GB
- ストレージ:256GB SSD
- 解像度:1920×1080 (WVA)
- バッテリー:※駆動時間は非公開
高性能な第11世代のCore i5を搭載した機種。本体の外観はややチープですが、値段の安さが魅力です。法人向けモデルは自営業やフリーランスの人でも購入可能。購入時に所在確認などはありません。
※2021年9月23日時点
dynabook PZ/HPB
- メーカー:デル
- CPU:Core i5-1135G7
- メモリー:8GB
- ストレージ:256GB SSD
- 解像度:1920×1080
- バッテリー:約10時間
国内大手ブランド製としてはリーズナブルな価格が魅力。手厚いサポートや豊富な付属ソフトなど、スペックには現われない大手ブランドPCならではの安心感があります。
※2021年9月23日時点
ThinkPad E15 Gen 2
- メーカー:レノボ
- CPU:Core i5-1135G7
- メモリー:8GB
- ストレージ:256GB SSD
- 解像度:1920×1080 (IPS)
- バッテリー:約11.2時間
高い堅牢性(壊れにくさ)と使いやすさで人気のThinkPadシリーズ。手頃な価格でありながら、Thunderbolt 4やWi-Fi 6など先進機能に対応している点が魅力です。さらに追加料金を払えば、パーツのアップグレードも可能。ディスプレイはsRGB 100%で映像が比較的キレイな点もポイントです。実用性で選ぶならコレ。
※2021年9月23日時点
14インチのコンパクトタイプ
14インチタイプのノートPCは15インチよりも画面がひとまわり小さいぶん、本体がコンパクトである点が特徴です。数値入力用のテンキーもありませんが、普段使わない人なら問題ないでしょう。最近はとてもコンパクトになり、モバイル用途で使う人も増えてきています。
15インチとの大きな違いはキーボードにテンキーがない点
IdeaPad Slim 550i 14型
- メーカー:レノボ
- CPU:Core i5-1035G1
- メモリー:8GB
- ストレージ:256GB SSD
- 解像度:1920×1080 (IPS)
- バッテリー:11.4時間
5万円台のリーズナブルな価格が魅力。天板はアルミ製で質感が高く、全体的に細身でシュッとしたデザインです。キーストロークが非常に浅いので、軽いタッチで入力する人向き。ディスプレイは視野角の広いIPSパネルですが、映像がやや黄色っぽく映し出されます。
※2021年9月23日時点
ThinkPad E14 Gen 2
- メーカー:レノボ
- CPU:Core i5-1135G7
- メモリー:8GB
- ストレージ:256GB SSD
- 解像度:1920×1080 (IPS)
- バッテリー:約12.6時間
ビジネス向けとして人気の高いThinkPadシリーズの14インチタイプ。壊れにくく頑丈な点と、つかいやすいキーボードが特徴です。さらにThunderbolt4やWi-Fi 6などの最新機能に対応している点もポイント。文章を入力する機会が多い人におすすめします。
※2021年9月23日時点
12~13.3インチモバイルPC
12~13.3インチタイプのノートPCは14インチよりもさらに軽量コンパクトで、持ち運び用のモバイルPCに向いています。鉄板構成のモデルなら、外出先でも快適に作業をこなせるでしょう。
コンパクトな12~13.3インチタイプは外出時の持ち歩き向き
Surface Laptop Go
- メーカー:マイクロソフト
- CPU:Core i5-1035G1
- メモリー:8GB
- ストレージ:128GB SSD
- 解像度:1536×1024 (IPS)
- バッテリー:最大13時間
非常に高品質な本体デザインで人気が高いSurfaceシリーズの12.4インチタイプ。とてもコンパクトで、持ち歩きにはピッタリです。SSDの容量がやや少ないものの、Office Home & Business 2019が標準で付いているので実は非常にお買い得です。
マイクロソフト Surface Laptop Go 12.4インチ Office H&B 2019 搭載 / 第 10 世代インテル® Core™ i5-1035...
LAVIE Direct N12
- メーカー:NEC
- CPU:Core i5-1130G7
- メモリー:8GB
- ストレージ:256GB SSD
- 解像度:1920×1080 (IPS)
- バッテリー:11.2時間
12.5インチで1kg切りの超軽量ノートPC。新品未使用のアウトレットモデルのため本体カラーはパールホワイトのみですが、Office Home & Business 2019付きで7万9800円は格安です。
ThinkBook 13s Gen2
- メーカー:レノボ
- CPU:Core i5-1135G7
- メモリー:8GB
- ストレージ:256GB SSD
- 解像度:1920×1200 (IPS)
- バッテリー:18.7時間
画面比率16:10の1920×1200ドットディスプレイを搭載。Thunderbolt 4やWi-Fi 6など、最新の機能にも対応しています。堅牢性も高く、持ち歩きにピッタリです。ほかの機種よりも若干値段が高めですが、品質と機能面で勝っています。
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