インテルの新型CPUである「Broadwell」こと「第5世代Coreプロセッサー」シリーズを搭載したモデルが、続々と登場しています。それに合わせて、新CPUを使ったベンチマーク結果もちらほら掲載され始めました。そこでBroadwell世代のCPUのなかからよく使われているCore i7-5500UとCore i5-5200U、Core i3-5005Uの3種類について、各所のベンチマーク結果をまとめました。
「PassMark」と「CINEBENCH」によるベンチマーク結果
今回は定番ベンチマークソフトである「PassMark」と「CINEBENCH」の結果を紹介します。なお各テストの結果については、PassMark Softwareの「CPU Benchmark Charts」とNotebookCheck.netのデータを参照しました。
関連リンク
- PassMark Software – CPU Benchmark Chart
- Notebook / Laptop Reviews and News – NotebookCheck.net
まずはベンチマーク結果をまとめた表からご覧いただきましょう。参考までに、Haswell世代の主要CPUであるCore i7-4510UとCore i5-4210U、Core i3-4030Uのスコアもまとめています。
Broadwell世代の主要CPUベンチマーク結果
PassMark | CINEBENCH R15 CPU(Single core) | CINEBENCH R15 CPU | CINEBENCH R11.5 CPU (Single core) | CINEBENCH R11.5 CPU | |
---|---|---|---|---|---|
Core i7-5500U(2.40GHz) | 4315 | 115 | 293 | 1.4 | 3.1 |
Core i5-5300U(2.3GHz) | 3877 | 116 | 279 | 1.4 | 3.1 |
Core i5-5200U(2.2GHz) | 3751 | 107 | 259 | 1.2 | 2.8 |
Core i3-5005U(2.00GHz) | 2997 | – | – | – | – |
Core i7-4510U(2.00GHz) | 3998 | 119 | 248.5 | 1.4 | 2.8 |
Core i5-4210U(1.70GHz) | 3444 | 102 | 237.5 | 1.2 | 2.6 |
Core i3-4030U(1.9GHz) | 2714 | 70 | 191 | 0.8 | 2 |
なお上記の結果は、各サイトに寄せられたベンチマーク結果を集計、平均したものです。投稿者の利用機種や全体の投稿数によって、結果は変わることがあります。
総合的なパフォーマンスは向上したがコア単位の性能は低下したCore i7-5500U
Core i7-5500UとHasewell世代のCore i7-4510Uの結果を比べてみると、PassMarkのスコアは7.9%向上しています。CINEBENCHでもマルチコア時の性能を計測する「CPU」はわずかにアップしました。しかしコア1個あたりの性能を表わす「Single core」では、スコアがわずかに減っています。Core i7-5500Uはターボブースト利用時の最大動作周波数が前世代に比べて100MHz減っているため、その影響が出ているのかもしれません。なお詳しいCPUについては、下記のページでご確認ください。
実はいま手元にCore i7-5500Uのベンチマーク結果が2件あるのですが、記事として掲載する関係で残念ながら公表できません。しかしザックリと言うと、上記の結果よりも2~3割ほど低いスコアが出ています。パーツ構成やインストールされているソフトによってスコアは変わるため、実際には使っている機種によって大きく変わるでしょう。
Broadwell世代のCore i7-5500Uは、Haswell世代のCore i7-4510Uに比べて計算性能が大きく向上しているわけではありません。もしかすると、その違いを体感できない可能性もあります。しかし省電力性能や3D描画性能はパワーアップしているので、その点を重視したい人にはCore i7-5500U搭載モデルをおすすめします。
旧世代のCore i7に迫る性能のCore i5-5200U
Core i5のベンチマーク結果としてはCore i5-5300U(2.3GHz)とCore i5-5200U(2.2GHz)の2種類を表にまとめていますが、よく使われるのはCore i5-4200Uのほうで話を進めます。
Core i5-5200Uのベンチマークを見ると、Core i7-5500Uと大きく変わらないことがわかります。スコアの差はおよそ2割程度でしょうか。実際の性能差は体感できるほどではないので、Core i7搭載モデルを選ぶよりもメモリー容量やSSDの性能でPCを選ぶことをおすすめします。
興味深いのは、前世代のCore i7-4510Uと計算性能がそれほど変わらない点です。バッテリー性能と3D性能は向上していますので、PCとしての使いやすさはCore i5-5200U搭載モデルのほうが上でしょう。今回取り上げたCPUのなかではもっともコストパフォーマンスが高く、狙い目だと言えます。
Core i3は 計算性能がもっとも向上した
Core i3-5005Uについては、PassMarkのスコアしか公開されていませんでした。搭載モデルが少なく、まだまだ情報が少ないようです。
PassMarkの結果を見ると、Haswell世代のCore i3-4030Uよりもスコアが10.4%アップしています。Core i7では7.9%、Core i5では8.9%だったので、もっとも性能が大きく向上したと言えるでしょう。オフィスを使った文書作成や、簡単な写真・動画の加工には十分な性能を持っています。
Broadwell世代のCore i3にはほかに、動作周波数が少しだけ向上したCore i3-5010U(2.10GHz)もラインナップされています。こちらのほうが性能が高いのですが、実際の処理性能はほとんど変わらないはず。あえてCore i3-5010Uを選ぶ必要はありません。
内蔵GPU「インテルHDグラフィックス5500」のベンチマーク結果
続いて、3Dベンチマークソフト「3DMark」によるベンチマーク結果を紹介しましょう。モバイルPC向けの「Broadwell-U」シリーズには、内蔵GPUとして「インテルHDグラフィックス5500」か「インテルHDグラフィックス6000」、「インテルIrisグラフィックス6100」の3種類のいずれかが使われています。ですが現在は、インテルHDグラフィックス5500の結果しか公開されていませんでした。今回取り上げた3種類のCPUは、すべてインテルHDグラフィックス5500を内蔵しています。
インテルHDグラフィックス5500搭載PCによる「3DMark」ベンチマーク結果 | |||
GPUの種類 | FireStrike | Cloud Gate | Ice Storm |
---|---|---|---|
インテルHDグラフィックス 5500 | 661.5 | 5532 | 50186 |
インテルHDグラフィックス 4400 | 571 | 4916.5 | 38437 |
Haswell世代のインテルHDグラフィックス4400と比較すると、もっとも負荷の高い「Fire Strike」(DirectX11相当)でスコアが15.8%アップしています。そのほかのテストでは中程度の「CloudGate」(DirectX10相当)で12.5%、もっとも負荷の軽い「Ice Storm」(DirectX9相当)で30.6%の向上です。性能の向上率を平均すると 19.6%となり、インテルが謳う「22%の3D性能の向上」にだいぶ近づきました。案外、こんな計算なのかもしれませんね。
Broadwell搭載モデルはCPU性能ではなくメモリー容量やストレージ、携帯性で選ぶ
以上のように、モバイル向けの「Broadwell-U」シリーズでは、それほど大きな改善は見られませんでした。高性能なモバイルPCの購入を検討しているなら、とりあえずCore i5-5200U搭載モデルを選んでおけば間違いはないでしょう。多少性能が落ちてもいいのなら、Core i3-5005UでもOKです。Core i7-5500U搭載モデルを選ぶよりは、メモリー容量が8GB以上でストレージにSSDを搭載したモデルのほうをおすすめします。また持ち歩くことを考えているなら、CPUよりも重量やバッテリー駆動時間を重視したほうがいいでしょう。