AMDのA9-9420eは、2017~2018年ごろにリリースされたノートPC向けのCPU (※)です。2018年発売の格安ノートPC / 小型PCで使われています。
CPUに詳しい人なら、AMDのA9と聞いてそこそこの性能ではないかと思うかもしれません。確かにA9シリーズは、価格の割に性能が高い点が特徴です。しかし今回取り上げるA9-9420eは低電圧版であるため、若干性能が劣ります。ノートPC向けCPU全体で見れば「下の中」といったところです。
※本来はグラフィックス機能を内蔵するAMD製プロセッサーのことを「APU」と呼びますが、この記事では混乱を防ぐために「CPU」と表記しています
A9-9420eのスペック
世代 | 第7世代 |
---|---|
開発コード | Stoney Ridge |
コア数 / スレッド数 | 2 / 2 |
動作周波数 | 1.80GHz |
最大動作周波数 | 2.70GHz |
TDP | 6W |
内蔵グラフィックス | Radeon R5 Graphics |
A9-9420eの用途
ゲーム | |
---|---|
動画編集 | |
RAW現像 | |
3D制作 | |
デザイン | |
イラスト | |
DTM | |
ビジネス |
※ノートPC向けCPUとしての評価
この記事ではこれからノートPCを購入しようとしている方のために、AMD A9-9420eの性能について紹介します。
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AMD A9-9420e概要
AMDのAシリーズは、やや低価格よりなノートPC向けのCPUです。インテルのPentiumシリーズと同じようなものと考えていいでしょう。さらに下位クラスのCPUとしてEシリーズ、上位クラスとしてRyzenシリーズなどが存在します。
AMDノートPC向けプロセッサーの種類
Eシリーズ (下位) |
とにかく価格の安さを重視 |
---|---|
Aシリーズ (中位) |
価格の安さを重視しつつ少し高性能 |
Ryzenシリーズ (上位) |
価格と性能のバランスを重視 |
ただしE / Aシリーズは2017年以降に新しいCPUが発売されておらず、その代わりとしてAtlonシリーズが発表されています。今後はE / Aシリーズは終了し、Athlon / Ryzenシリーズとして展開されるのかもしれません。
ちなみにワンランク下のA6-9220eはデルのモデルにしか使われていないためデル向けのOEM版だと思われますが、A9-9420eはデルとレノボのモデルで使われているのを確認しました。
A9-9420eとA9-9420の違い
前述のとおりA9-9420eはパフォーマンスを抑えた低電圧版で、これとは別に通常版のA9-9420もリリースされています。末尾に「e」のないA9-9420は動作周波数とTDP (消費電力の目安)が高く、A9-9420eよりも高性能です。性能比では1.3~1.4倍ほど変わります。
A9-9420eとA9-9420の違い
A9-9420e | A9-9420 | |
---|---|---|
開発コード | Stoney Ridge | Stoney Ridge |
コア数 / スレッド数 | 2 / 2 | 2 / 2 |
動作周波数 | 1.80GHz | 3.00GHz |
最大動作周波数 | 2.70GHz | 3.60GHz |
TDP | 6W | 15W |
内蔵グラフィックス | Radeon R5 Graphics | Radeon R4 Graphics |
AMD A9-9420eのベンチマーク結果
続いて、当サイトで実施したCPUベンチマークテストの結果を紹介します。なおベンチマーク結果は各機種の平均値であり、A9-9420e本来の性能を正確に表わすものではありません。また結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などにより大きく変わることがあることをあらかじめご了承ください。
一般ノートPC向けCPUとの比較
6万円以上の一般的なノートPCでは、CPUにインテルのCore iシリーズが使われています。このクラスのCPUと比較すると、 A9-9420eの性能はやや低め。インテル製CPUで言うところのPentium / Celeron Uシリーズと同じくらいと言えるでしょう。そのぶん価格が安いので、仕方がないところです。
CPUの性能比較(総合性能)
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i7-8565U (第8世代) |
9679
|
Core i7-8550U (第8世代) |
9009
|
Core i5-8265U (第8世代) |
8595
|
Core i5-8250U (第8世代) |
8328
|
Core i7-7500U (第7世代) |
5564
|
Core i3-8145U (第8世代) |
5549
|
Core i3-8130U (第8世代) |
5527
|
Core i5-7200U (第7世代) |
4949
|
Core i3-7100U (第7世代) |
3785
|
A9-9420e |
2123
|
※2019年7月時点での当サイトの平均値
格安ノートPC向けCPUとの比較
3~5万円台の格安モデル向けCPUと比べると、A9-9420eの性能は悪くありません。4万円台なら標準的ですが、3万円台なら優秀なほうです。価格によっては、検討する価値があるでしょう。
なお末尾に「e」が付かないA9-9420であれば、格安モデル向けとしてはかなり優秀です。一部の国内ブランドモデルでは5万円以上の価格で販売されていますが、コストパフォーマンスがよくないので性能面だけで見るならおすすめしません。
CPUの性能比較(格安ノートPC)
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i3-7020U |
3802
|
A9-9420 |
2928
|
Pentium N5000 |
2650
|
Celeron N4100 |
2569
|
A6-9220 |
2465
|
A9-9420e |
2142
|
Celeron 4205U |
2026
|
Celeron 3865U |
2016
|
E2-9000 |
1898
|
A6-9220e |
1852
|
E2-9000e |
1727
|
Celeron N4000 |
1553
|
Celeron N3350 |
1254
|
※2019年7月時点での当サイトの平均値
グラフィックス性能
A9-9420eではグラフィックス機能として、CPU内蔵のRadeon R5 Graphicsを使います。性能面は悪くないはずなのですが、当サイトのベンチマーク結果ではいまひとつスコアが伸びませんでした(最大で430、最小で337)。それはともかく、ゲームを楽しむには非常に厳しい性能です。
グラフィックス性能比較
CPU | 3DMark Fire Strikeスコア |
---|---|
GeForce GTX 1050 |
5412
|
GeForce MX250 |
3261
|
GeForce MX150 |
3053
|
GeForce MX130 |
1933
|
Core i7-8565U (UHD 620) |
1162
|
Core i5-8265U (UHD 620) |
1061
|
Core i3-8130U (UHD 620) |
945
|
A9-9420 (Radeon R5) |
707
|
A6-9220 (Radeon R4) |
584
|
Celeron 4205U (UHD 610) |
519
|
A6-9220e (Radeon R4) |
462
|
E2-9000 (Radeon R2) |
424
|
A9-9420e (Radeon R5) |
384
|
Celeron N4000 (UHD 600) |
369
|
E2-9000e (Radeon R2) |
263
|
※2019年7月時点での当サイトの平均値
AMD A9-9420e搭載機種ごとの違い
当サイトでは2019年7月時点までに、A9-9420e搭載モデルを2機種3台検証しています。検証台数は多くないのですが、A9-9420eが使われている機種自体が少ないため、これ以上の検証は難しいかもしれません。とりあえずは暫定データとして参考にしてください。
A9-9420e搭載機のベンチマーク結果
機種名 | CINEBENCH R15 | CPU Mark | サイズ |
---|---|---|---|
Inspiron 11 3000 2-in-1 (3185) | 97 | 2142 | 11.6インチ |
Inspiron 11 3000 (3180) | 94 | 2141 | 11.6インチ |
Inspiron 11 3000 (3180) | 92 | 2105 | 11.6インチ |
※製品名をクリックすると各機種のレビュー記事に移動します
価格しだいではアリ
2019年7月時点において、A9-9420e搭載ノートPCはデルの2機種のみ販売されています。クラムシェル型のInspiron 11 3000 (3180)なら4GBメモリー+128GB eMMCの構成で税込3万5889円。2-in-1タイプのInspiron 11 3000 2-in-1 (3185)なら税込4万5123円です。CPU性能がCeleron Uシリーズクラスであることを考えれば、けっこうコスパが高いと思います。
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Inspiron 11 3000 (3180)の価格
Inspiron 11 3000 2-in-1 (3185)の価格
アマゾンでは4万円台半ばで販売されていますが、セール期間中に割引販売されることがあるので、こちらもチェックしておくといいでしょう。
ただし A9-9420e搭載モデルは、それほど性能が高いわけではありません。少しでも快適に使いたい場合は、以下の設定を試してみてください。そうすれば極端に待ち時間が長くなることはなく、ネットの閲覧や動画視聴などの軽めの作業には問題なく使えるでしょう。
格安PCをうまく使うコツ
- ・電源プラン / オプションを「高パフォーマンス」に変更
- ・不要なソフト / アプリを削除
- ・アプリの自動更新を無効化
- ・動作の軽いセキュリティー対策ソフトを使用
*
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