
機材貸し出し:レノボ・ジャパン合同会社
レノボの『Lenovo V14 Gen 4 AMD』(以下、”Lenovo V14 Gen4″)は、14インチタイプのスタンダードノートPCです。8GBメモリーとフルHD(IPSパネル)ディスプレイ搭載で、価格は4~5万円台(記事執筆時)とリーズナブルな値段で販売されています。

Lenovo V14 Gen 4 AMD
記事執筆時の価格
スペック | 価格 |
---|---|
Athlon Silver 7120U / 8GB / 256GB | 4万9940円 |
Ryzen 3 7320U / 8GB / 256GB | 5万4890円 |
Ryzen 5 7520U / 8GB / 256GB | 5万9840円 |
※2023年10月19日時点
ただし値段が安いだけあって、本体の仕上がりも性能もそれなりです。安く買えるのはメリットではあるものの、同程度の値段で(あるいは予算を多少上乗せすれば)より高性能な機種を入手できます。その点で、コスパはあまり高くありません。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
スペック
発売日 | 2023年2月21日 |
---|---|
OS | Windows 11 Home / Pro |
ディスプレイ | 14インチ1920×1080ドット、IPS、300nit、45% NTSC、非光沢 |
CPU | Athlon Silver 7120U / Ryzen 3 7320U / Ryzen 5 7520U |
メモリー | 8GB LPDDR5-5500 ※オンボード増設不可 |
ストレージ | 256 / 512GB Gen4 NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon 610M Graphics ※CPU内蔵 |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1、有線LAN(1Gb) |
インターフェース | USB3.2 Gen1 Type-C(PD / DP)×1、USB3.2 Gen1×2、HDMI1.4b(最大4K@30Hz)、有線LAN、ヘッドフォン出力 / マイク入力 |
セキュリティ | ※生体認証なし |
サイズ / 重量 | 幅324.2mm、奥行き215.2mm、高さ19.9mm / 約1.43kg |
バッテリー | 2セル38Wh ※駆動時間は未公開 |
本体デザイン

Lenovo V14 Gen 4 AMDの外観。本体カラーはブラック(海外の正式名称は「Business Black」)

ボディは樹脂(プラスチック)製。表面にはテクスチャー加工が施されています。正直なところいかにも格安ノートPC的な質感で、高級感はありません。指紋の跡は少し残ります

設置面積は幅324.2mm×奥行き215.2mm

A4ノート(ピンク)とB5ノート(ブルー)とのサイズ比較。14インチタイプとしてはややコンパクトです

最厚部の高さは実測で19.8mm(突起部を除く)

底面のゴム足(突起部)を含めた高さは23.8mm。設置するとけっこうな厚みを感じます

重さは実測で1.321kg。14インチタイプとしてはやや軽め

ディスプレイを開いた状態

キーボード面は天板と同じ仕上がり。キーの色はダークグレーで同系色ですが、個々のキーが見づらく感じることはありませんでした

ディスプレイのベゼル(枠)は、最近の機種としては標準的です

ディスプレイはほぼ180土間で開閉可能

インターフェース類は多くはないものの、ライトなビジネス用PCとしては十分な構成です。Type-CはUSB PDと映像出力(DP Alt)に対応

カメラはプライバシーシャッター付きで、720p 30fpsの動画撮影に対応。画角は標準的で、ビデオ会議事には背景が多少映り込みます

付属の電源アダプターは65Wの丸口タイプ。重量は338g

スピーカーは底面両脇に配置。音はこもり気味で、音量がやや小さく感じました。動画やビデオ会議の音声は普通に聞き取れるものの、ヘッドホンなどを使ったほうがクリアーな音で利用できるはずです

排気口はこの部分。排出された温風はいちどヒンジに当たるので、ディスプレイには直接当たりません

底面部
ディスプレイについて

画面サイズは14インチで、解像度は1920×1080ドット。最近の格安ノートPCでは、一般的な組み合わせです

色域は45% NTSC。色はそれほど鮮やかではありません。しかし試用機のパネルは比較的明るく、ほかの格安ノートPCよりも色鮮やかに感じられました(個体差による影響の可能性があります)

視野角の広いIPSパネルを使用。以前のV14シリーズでは視野角が狭いTNパネルが使われていましたが、現行モデルでは画面の見やすさが(旧モデルよりも)大きく向上しています
キーボードについて

キーボードはテンキーなしの日本語配列。バックライトには非対応です

基本的にキーは十分な大きさですが、Enterキー周辺で一部のキーが隣接していたりやや小さく作られたりしています

押した瞬間のクリック感は固めですが、押下圧はだいぶ軽く感じます。とは言え、少し触れた程度で入力を検知するようなことはありませんでした。ストロークは浅く、ホームポジション付近で若干のたわみあり

タイプ音はうるさくはないものの、軽い力でもタクタクと聞こえます。静かな場所では、周囲に配慮したほうがいいかもしれません。タイプ感も軽いため、軽い力で入力する人向きです
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 5 7520U |
---|---|
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、標準収録ユーティリティー「Lenovo Vantgae」の「電源およびパフォーマンス」-「スマート・パワー」を「エクストリーム・パフォーマンス」に変更。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPU(APU)としては、開発コード「Mendocino(メンドシノ)」ことモバイルAthlon / Ryzen 7020Uシリーズが使われています。2022年9月にリリースされたCPUですが、内部的には2020年にリリースされたモバイルRyzen 4000Uシリーズと同等。昔のCPUを廉価版として、現在でも使っていると考えてください。

低価格なノートPCで使われているAtlon / Ryzenシリーズの仕様
基本スペックを見てもあまり変わらないように見えますが、Zen 2世代とZen3世代では性能が大きく異なるので注意してください。たとえば同じRyzen 5でも、Ryzen 5 7520U(Zen2)とRyzen 5 7530Uとでは、ベンチマークスコアが1.6倍も異なります。
Ryzen 5 7520U搭載の試用機でCPUベンチマークを行なったところ、現行世代のノートPCのなかでは低めの結果が出ました。ネットの調べ物や動画視聴、オフィスを使った文書作成には問題ない程度ですが、ガッツリ作業するのには向いていません。Ryzen 3モデルやAthlonモデルであれば、さらにパフォーマンスは劣るでしょう。
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Ryzen 7 7735U | 21043 |
Core i5-1340P | 20760 |
Core i7-1360P | 19623 |
Ryzen 7 7730U | 18979 |
Core i5-1335U | 18240 |
Ryzen 5 7535U | 17163 |
Ryzen 5 7530U | 16196 |
Core i7-1355U | 15636 |
Core i3-1315U | 13033 |
Ryzen 3 7330U | 10909 |
Core i3-N305 | 10265 |
V14(Ryzen 5 7520U) | 9940 |
Ryzen 5 7520U | 9759 |
Ryzen 3 7320U | 9249 |
Intel N100 | 5638 |
Athlon Silver 7120U | 3088 |
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (シングルスレッド)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Core i7-1360P | 3670 |
Core i5-1335U | 3665 |
Core i7-1355U | 3606 |
Core i3-1315U | 3573 |
Ryzen 7 7735U | 3289 |
Ryzen 7 7730U | 3228 |
Ryzen 5 7530U | 3136 |
Ryzen 5 7535U | 3105 |
Ryzen 3 7330U | 3089 |
V14(Ryzen 5 7520U) | 2612 |
Ryzen 5 7520U | 2573 |
Ryzen 3 7320U | 2485 |
Core i3-N305 | 2279 |
Athlon Silver 7120U | 2103 |
Intel N100 | 1971 |
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
CPU性能が低い点に加え、メモリー容量が少ない点もネックです。Lenovo V14に限らず、Athlon / Ryzen搭載ノートPCは2GBの容量をビデオメモリーとして確保されている場合があります。システム用として使われるのは6GB弱程度で、そのうち3~4GBをWindowsが利用。そのためユーザー側が使えるメモリー容量は2~3GB程度、あるいはそれ以下となるのです。

Lenov V14 Gen4のメモリー使用状況。スペックとして8GB搭載していても、ユーザーが自由に使える容量はごくわずか(この場合は1.6GB)です
さらにLenov V14 Gen4はオンボードメモリー(マザーボード直付け)のため、メモリーを増設できません。ただでさえCPU性能が低いのに、メモリー容量も少ない状況で利用することになる点に注意してください。
なおビデオメモリーの容量は、UEFI(BIOS)設定画面で変更できるはずです。少しでも使いやすくしたい場合は、設定を変更してみるといいでしょう。ただしこの設定変更は中上級者向けなので、初心者にはおすすめしません。
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadeon 610Mが使われます。RDNA2世代でアーキテクチャ(基本設計)的には前世代のRadeon Graphics(Vega)よりも新しいのですが、グラフィックスコアが2基しかないため、性能はかなり低めです。
実際の3Dベンチマークテストでも、内蔵グラフィックスタイプとしては最低クラスの結果が出ています。グラフィックス関連の作業は避けたほうがいいでしょう。
内蔵グラフィックスの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 | 3445 |
Radeon(RDNA 3) | 2862 |
Radeon 680M(RDNA 2) | 2211 |
Iris Xe(Core i7+LPDDR) | 1528 |
Iris Xe(Core i5+LPDDR) | 1302 |
Radeon (Vega) | 1204 |
Iris Xe(Core i7+DDR) | 1149 |
Iris Xe(Core i5+DDR) | 977 |
UHD(Core i3) | 900 |
V14(Radeon 610M, RDNA2) | 550 |
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
各テストの目標値はクリアーしているものの、コンテンツ制作(写真加工や3D制作、動画編集)についてはギリギリ超えたレベル。そのほかは目標値を大きく上回っているものの、一般的なノートPCと比べるとスコアが低い印象を受けます。
とは言え、価格が安いことを考えれば納得できる範囲です。ただしAthlon / Ryzen 3モデルでは、ちょっと厳しいかもしれません。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 | 8228 10616 10917 9869 10647 10093 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 | 7774 10003 9572 8854 6968 6759 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 | 3687 6018 6536 8298 5997 6342 |
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶ThinkBook 14 Gen5 | Ryzen 5 7530U / 16GB / Radeon |
---|---|
▶IdeaPad Flex 5 Gen8 | Ryzen 7-7730U / 16GB / Radeon |
▶Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U / 16GB / Radeon |
▶HP Spectre x360-14 | Core i7-1255U / 16GB / Iris Xe |
▶XPS 13 Plus | Core i7-1260P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は公開されていません。ビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から6時間7分で休止状態へ移行しました。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。最近のノートPCとしては駆動時間が短いものの、本来は据え置き利用向けの機種なので問題ないでしょう。
バッテリー駆動時間の計測結果(Ryzen 5モデル)
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | ※非公開 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 6時間7分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 45分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 1時間49分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
安いけどコスパはイマイチ
まず、筐体がチープな点が気になります。とは言え、品質面にこだわらないなら普通に使えるでしょう。前モデルではディスプレイに見づらいTNパネルが使われていたので、IPSパネルに変更された点は注目すべき改善点です。

TNパネルが使われいた前モデルに比べて、画面の見やすさは格段に向上しました ※写真は旧モデル
CPU性能が低い点も気になりますが、ごく軽い作業向けと割り切って使うならアリでしょう。4~5万円台のノートPCとしては、かなり健闘していると思います。
ただ他社製品なら5万円台でもそこそこ優秀なCPUを搭載している機種があり、さらに6万円台で16GBメモリーを搭載している機種も珍しくありません。その点を考慮すると、4~5万円台ではコスパはイマイチです。セールで大きく値下がりしているタイミングを狙ってください。お買い得情報は当サイトのX(旧ツイッター)アカウントで配信しています。
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