インテルのCore i3-10110Uは、2019年8月に発表されたノートPC向けのCPUです。2019年後半以降に発売されたスタンダードノートPC / モバイルノートPCのうち、値段の安い下位モデルで使われています。
Core i3-10110Uのスペック
世代 | 第10世代 |
---|---|
開発コード | Comet Lake |
コア数 / スレッド数 | 2 / 4 |
動作周波数 | 2.10GHz |
最大動作周波数 | 4.10GHz |
TDP | 15W |
内蔵グラフィックス | Intel UHD Graphics |
Core i3はCore i7 / i5に比べると、パフォーマンスはあまりよくありません。ノートPC向けCPU全体で見ると、標準よりもやや下程度の性能です。
Core i3-10110Uのベンチマークスコア概要
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i7-10510U |
10412
|
Core i5-10210U |
9815
|
Ryzen 5 3500U |
8373
|
Core i3-10110U |
5553
|
Core i3-8145U |
5549
|
Core i3-8130U |
5534
|
Ryzen 3 3200U |
4609
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
ただし性能が低いぶん、Core i3搭載ノートPCはCore i7 / i5搭載モデルに比べて安く販売されています。また性能が低いとは言っても、文書作成やネットの調べ物などには十分です。
Core i3-10110Uの用途
ゲーム | |
---|---|
動画編集 | |
RAW現像 | |
3D制作 | |
デザイン | |
イラスト | |
DTM | |
ビジネス |
※ノートPC向けCPUとしての評価
この記事ではこれからノートPCを購入しようとしている方のために、Core i3-10110Uの性能について紹介します。
Core i3-10110U概要
※ここではCPUのやや専門的な内容について解説しています。CPUの背景に興味のない方は読み飛ばしてもOKです。
第10世代Comet Lakeの下位CPU
インテルのCore i3シリーズは、計算性能よりも価格の安さを重視したCPUです。Core iプロセッサーのなかで人気順に並べるとCore i5、Core i7に次ぐ3番手。どちらかといえば、マイナーな存在です。
Core iプロセッサーの種類
Core i3 (下位) |
計算性能よりも価格の安さを重視 |
---|---|
Core i5 (中位) |
性能と価格のバランスを重視 |
Core i7、i9 (上位) |
とにかく性能重視 |
スタンダードノートPCおよびモバイルノートPCでは2019年前半まで、第8世代 (Whisky Lake)のCore iプロセッサーが使われていました。そこから第9世代をすっ飛ばして第10世代に移行したわけですが、ややこしいことに第10世代には開発コード (CPUアーキテクチャ)の異なる3種類が存在します。
第10世代Core i7の種類
開発コード | 概要 | 主なCPU |
---|---|---|
Comet Lake | 従来と同じ14nmプロセスでありながら、パッケージサイズが大幅に小型化 | Core i3-10110U |
Ice Lake | 新機軸の10nmプロセスでCPUコアも刷新。機械学習性能やグラフィックス性能を強化 | Core i3-1005G1 |
Amber Lake-Y | ファンレスPCやタブレットPC向けの省電力版。製造プロセスは14nm | Core i3-10110Y |
今回取り上げるCore i3-10110Uは、軽量薄型ノートPC向けのComet Lakeに属します。Comet Lake自体はWhisky Lakeとあまり変わりがなく、あえて言うならば「Whisky Lake Refresh」的な第8世代の改良版といった位置づけです。当サイトの計測結果では全体的に、Comet LakeよりもIce Lakeのほうが優れた結果が出ています。
Core i3-10110UとCore i3-8145Uの違い
Core i3-10110U | Core i3-8145U | |
---|---|---|
発表日 | 2019年8月 | 2018年8月 |
世代 | 第10世代 | 第8世代 |
開発コード | Comet Lake | Whisky Lake |
製造プロセス | 14nm | 14nm |
コア数 / スレッド数 | 2 / 4 | 2 / 4 |
動作周波数 | 2.10GHz | 2.10GHz |
最大動作周波数 | 4.10GHz | 3.90GHz |
キャッシュメモリー | 4MB | 4MB |
TDP | 15W | 15W |
内蔵グラフィックス | Intel UHD Graphics | Intel UHD Graphics 620 |
Core i3-10110Uのベンチマーク結果
続いて、当サイトで実施したCPUベンチマークテストの結果を紹介します。なおベンチマーク結果は各機種の平均値であり、Core i3-10110U本来の性能を正確に表わすものではありません。また結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などにより大きく変わることがあることをあらかじめご了承ください。
一般ノートPC向けCPUとの比較
スタンダードノートPC / モバイルノートPC向けCPUのなかで、Core i3-10110Uは中位クラスに位置します。現行のCore i5 / i7に比べると性能はかなり低めです。
しかし2016~2017年のハイエンド向けノートPCで使われていたCore i7-7500Uとベンチマークスコアは同等レベル。文書作成やネットの調べ物、動画視聴には問題なく利用できます。2017年以前のノートPCを使っているなら、Core i3への買い替えを検討してもいいでしょう。
CPUの性能比較(総合性能)
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i7-10710U |
13685
|
Core i7-1065G7 |
11872
|
Core i5-1035G4 |
10844
|
Core i7-10510U |
10412
|
Core i5-10210U |
9815
|
Core i7-8565U |
9814
|
Core i5-1035G1 |
9164
|
Core i5-8265U |
8593
|
Ryzen 5 3500U |
8373
|
Core i7-7500U |
5564
|
Core i3-10110U |
5553
|
Core i3-8145U |
5549
|
Ryzen 3 3200U |
4609
|
Core i3-7020U |
3769
|
Celeron N4100 |
2569
|
Celeron 4205U |
2021
|
Celeron N4000 |
1550
|
※スコアは当サイト計測値の平均
ゲーミングノートPC向けCPUとの比較
ゲーミングノートPCやクリエイター向けノートPCで使われる高性能なHシリーズと比較すると、Core i3-10110Uの性能はかなり劣ります。高いCPU性能が求められるPCゲームや動画編集、写真加工などの用途には向いていません。
CPUの性能比較 (総合性能)
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i9-9880H |
18515
|
Core i9-9980HK |
17991
|
Core i7-9750H |
14810
|
Core i7-8750H |
13244
|
Core i5-9300H |
10234
|
Core i5-8300H |
9697
|
Core i3-10110U |
5553
|
※スコアは当サイト計測値の平均
デスクトップPC向けCPUとの比較
ゲーミングノートPC向けよりもさらに高性能なデスクトップPC向けCPUと比較すると、Core i3-10110Uのパフォーマンスはかなり劣ることがわかります。同じCore i3でも、ノートPC向けとデスクトップPC向けでは性能が大きく異るのです。
CPUの性能比較(総合性能)
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i9-9900K |
19867
|
Core i7-9700K |
17208
|
Core i7-9700F |
17034
|
Core i7-9700 |
16409
|
Core i7-8700 |
15412
|
Core i5-9400F |
12043
|
Core i5-9400 |
11392
|
Core i5-8400 |
11229
|
Core i3-9100 |
8784
|
Core i3-8100 |
8027
|
Core i3-10110U |
5553
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
Core i3-10110Uのグラフィックス性能
ノートPCに外付けGPUが搭載されていない限り、ウィンドウズのグラフィックス処理にはCore i3-10110U内蔵のUHD Graphicsが使われます。グラフィックス性能はかなり低く、ゲームやクリエイター向けソフトでの効果は見込めません。同じUHD Graphicsでも、Core i5やCore i7のほうが若干有利です。
GPUの性能比較
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
8513
|
GTX 1050 |
5912
|
MX250 |
3400
|
MX150 |
3386
|
Iris Plus(Core i7) |
2846
|
Iris Plus(Core i5) |
2236
|
Radeon Vega 8 (Ryzen 5) |
2193
|
UHD (Ice Lake Core i5) |
1396
|
UHD (Comet Lake Core i7) |
1335
|
UHD 620 (Core i7) |
1265
|
UHD (Comet Lake Core i5) |
1273
|
UHD 620 (Core i5) |
1186
|
UHD 620 (Core i3) |
975
|
UHD (Comet Lake Core i3) |
859
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
Core i3-10110Uのゲーム性能
ゲームについてはかなり厳しいと考えてください。
Core i3-10110U + 4GBメモリー搭載のThinkPad E14でゲーム系ベンチマークを試したところ、もっとも軽いドラクエ10でさえフルHDの最低画質でなんとかというレベルです。なめらかな動きが必要とされないパズルやトランプゲームなら問題ないかもしれませんが、FPSやTPS、RPGなどの人気ゲームはムリと考えたほうがいいでしょう。
解像度をグッと下げれば多少は改善されますが、あくまでも息抜きとして楽しむ程度にとどめたほうが無難です。
※テストはCore i3-10110U + 4GBメモリー (フルHD)で実施
FF15ベンチ (重量級 / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | – / – ※計測不能 |
標準品質 | 458 / 動作困難 |
軽量品質 | 586 / 動作困難 |
※スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (中量級 / DX11)
画質 | スコア / 評価 / 平均FPS |
最高品質 | 693 / 動作困難 / 3.8 FPS |
高品質 | 955 / 動作困難 / 5.8 FPS |
標準品質 | 986 / 動作困難 / 6.2 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽量級 / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 2933 / やや重い |
標準品質 | 4068 / 普通 |
低品質 | 4724 / 普通 |
Core i3-10110U搭載機種ごとの違い
当サイトでは2020年3月までに、Core i3-10110U搭載モデルを4機種検証しています。検証数は多くありませんが、ある程度は参考になるはずです。今後検証機種が増えれば、データを更新します。
Core i3-10110U搭載機別のベンチマーク結果
機種名 | CINEBENCH R20 | CPU Mark | サイズ |
---|---|---|---|
Inspiron 14 5490 | 950 | 5534 | 14インチ |
ThinkPad E14 | 819 | 5556 | 14インチ |
Vostro 15 3590 | 950 | 5559 | 15.6インチ |
ThinBook 14 | 952 | 5561 | 14インチ |
※製品名クリックでレビューをご覧いただけます
スペックしだいではアリ
Core i5やCore i7よりも性能は低いとはいえ、Core i3-10110U自体のパフォーマンスは決して悪くはありません。ベンチマークスコアは3~4年前のCore i7相当で、文書作成やネットの調べ物など普段使いやビジネスには十分活用できます。
ただしCore i3搭載ノートPCはメモリー容量が少なかったりストレージに低速なHDDが使われていることがあり、それらの影響で全体的なパフォーマンスが低いことがあります。Core i3搭載ノートPCならメモリー容量はできれば8GBで、ストレージにSSDが使われている機種を選ぶといいでしょう。
ただしあくまでも軽めの作業向けですので、ガッツリ使いたい人にはCore i5搭載ノートPCをおすすめします。
*
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