AMDのE2-9000eは、2016年11月にリリースされたノートPC向けのCPU (※)です。2017年以降に発売された格安ノートPCで使われています。
基本的には格安ノートPC向けですので、性能は高くありません。2019年の水準で言えば、下から数えたほうが早いくらいです。ただインテルのCeleronシリーズ搭載機よりも値段が安く、いまでも激安モデルで使われています。
※本来はグラフィックス機能を内蔵するAMD製プロセッサーのことを「APU」と呼びますが、この記事では混乱を防ぐために「CPU」と表記しています
E2-9000eのスペック
世代 | 第7世代 |
---|---|
開発コード | Stoney Ridge |
コア数 / スレッド数 | 2 / 2 |
動作周波数 | 1.50GHz |
最大動作周波数 | 2.00GHz |
TDP | 6W |
内蔵グラフィックス | Radeon R2 Graphics |
E2-9000eの用途
※ノートPC向けCPUとしての評価
この記事ではこれからノートPCを購入しようとしている方のために、AMD E2-9000eの性能について紹介します。
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AMD E2-9000e概要
E2-9000eが含まれるAMDのE2シリーズは、低価格ノートPC向けのCPUです。インテルのCeleronシリーズと同じようなものと考えていいでしょう。さらに中位クラスのCPUとしてAシリーズ、上位クラスとしてRyzenシリーズなどが存在します。
AMDノートPC向けプロセッサーの種類
Eシリーズ (下位) |
とにかく価格の安さを重視 |
---|---|
Aシリーズ (中位) |
価格の安さを重視しつつ少し高性能 |
Ryzenシリーズ (上位) |
価格と性能のバランスを重視 |
ただしE / Aシリーズは2017年以降に新しいCPUが発売されておらず、その代わりとしてAtlonシリーズが発表されています。今後はE / Aシリーズは終了し、Athlon / Ryzenシリーズとして展開されるのかもしれません。
E2-9000eとE2-9000の違い
E2-9000eのほかに、E2-9000という非常によく似た名前のCPUが存在します。どちらも同じ格安ノートPC向けなのですが、E2-9000のほうが性能が若干高め。基本構造はほぼ同じで、E2-9000eはE2-9000の低電圧版という位置づけです。勘違いしやすいので、購入の際は十分注意してください。
E2-9000eとE2-9000の違い
E2-9000e | E2-9000 | |
---|---|---|
開発コード | Stoney Ridge | Stoney Ridge |
コア数 / スレッド数 | 2 / 2 | 2 / 2 |
動作周波数 | 1.50GHz | 1.80GHz |
最大動作周波数 | 2.00GHz | 2.20GHz |
TDP | 6W | 10W |
内蔵グラフィックス | Radeon R2 Graphics | Radeon R2 Graphics |
AMD E2-9000eのベンチマーク結果
続いて、当サイトで実施したCPUベンチマークテストの結果を紹介します。なおベンチマーク結果は各機種の平均値であり、E2-9000e本来の性能を正確に表わすものではありません。また結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などにより大きく変わることがあることをあらかじめご了承ください。
一般ノートPC向けCPUとの比較
CPUの計算性能を計測するベンチマークテストの結果は、以下のグラフのとおりです。一般用途向けのスタンダードノートPC用CPUと比べると、性能が非常に低いことがわかります。そのぶん価格が安い点が、E2-9000eのメリットです。
CPUの性能比較(総合性能)
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i7-8565U (第8世代) |
9679
|
Core i7-8550U (第8世代) |
9009
|
Core i5-8265U (第8世代) |
8595
|
Core i5-8250U (第8世代) |
8328
|
Core i7-7500U (第7世代) |
5564
|
Core i3-8145U (第8世代) |
5549
|
Core i3-8130U (第8世代) |
5527
|
Core i5-7200U (第7世代) |
4949
|
Core i3-7100U (第7世代) |
3785
|
E2-9000e |
1727
|
※2019年7月時点での当サイトの平均値
格安ノートPC向けCPUとの比較
3~5万円台の格安モデル向けCPUと比べても、E2-9000eのパフォーマンスは低めです。とは言え、いま格安ノートPCでもっともよく使われているCeleron N4000をわずかにですが上回っています。
ちなみにE2-9000eよりも上位のE2-9000は確かにベンチマークスコアで上回ったものの、それほど大きく変わるわけではありませんでした。
CPUの性能比較(格安ノートPC)
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i3-7020U |
3802
|
Pentium N5000 |
2650
|
Celeron N4100 |
2569
|
Celeron 4205U |
2026
|
Celeron 3865U |
2016
|
E2-9000 |
1898
|
E2-9000e |
1727
|
Celeron N4000 |
1553
|
Celeron N3350 |
1254
|
※2019年7月時点での当サイトの平均値
グラフィックス性能
E2-9000eではグラフィックス機能として、CPU内蔵のRadeon R2 Graphicsを使います。GeForceシリーズなどの専用グラフィックスチップ (dGPU)に比べると、パフォーマンスはかなり低め。ゲームのプレーについては考えないほうが無難です。
グラフィックス性能比較
CPU | 3DMark Fire Strikeスコア |
---|---|
GeForce GTX 1050 |
5412
|
GeForce MX250 |
3261
|
GeForce MX150 |
3053
|
GeForce MX130 |
1933
|
Core i7-8565U (UHD 620) |
1162
|
Core i5-8265U (UHD 620) |
1061
|
Core i3-8130U (UHD 620) |
945
|
Celeron 4205U (UHD 610) |
519
|
E2-9000 (Radeon R2) |
424
|
Celeron N4000 (UHD 600) |
369
|
E2-9000e (Radeon R2) |
263
|
※2019年7月時点での当サイトの平均値
AMD E2-9000e搭載機種ごとの違い
当サイトでは2019年7月時点までに、E2-9000e搭載モデルを2機種のみ検証しています。検証台数が少ないのでデータの精度は高いわけではありません。あくまでも暫定データとして捉えてください。今後検証する機会があればデータを追加します。
E2-9000e搭載機別のベンチマーク結果
機種名 | CINEBENCH R15 | CPU Mark | サイズ |
---|---|---|---|
HP 15-db0000 | 70 | 1727 | 15.6インチ |
HP 15-bw000 | 70 | ※未計測 | 15.6インチ |
※製品名をクリックすると各機種のレビュー記事に移動します
ちなみにベンチマーク結果を集計するPCMark CPU Benchmarksでは、E2-9000eのスコアは1344とされています。当サイトとの結果と異なるのは、検証機種やタイミングなどが異なるため。条件によってベンチマーク結果が大きく変わる点に注意してください。
なお現在発売中のE2-9000e搭載モデルは以下のとおりです。
E2-9000e対応モデル
安いけど利用にはコツが必要
E2-9000e搭載機種は価格の安さが魅力ですが、性能が低いため処理の待ち時間がかなり長く感じるでしょう。
しかしこれはCPUの性能というよりも、価格を抑えるためにメモリー容量を少なくしたり、ストレージにHDDを使っていたりすることが原因です。
自分でメモリーを増設したり、ストレージを高速なSSDに交換すれば、ある程度は問題なく使えます。もしくは購入時の有料オプションでパーツをアップグレードするのもアリです。
しかしパーツを交換 / アップグレードしないまま使うのであれば、以下の設定を行なった上で利用してください。そうすれば極端に待ち時間が長くなることはなく、ネットの閲覧や動画視聴などの軽めの作業には問題なく使えます。
格安PCをうまく使うコツ
- ・電源プラン / オプションを「高パフォーマンス」に変更
- ・不要なソフト / アプリを削除
- ・アプリの自動更新を無効化
- ・動作の軽いセキュリティー対策ソフトを使用
*
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