機材貸し出し：レノボ・ジャパン合同会社
レノボの『Yoga 7i Gen 8 16型(第13世代Intel Core)』（以下、”Yoga 7i Gen 8 16型″）は、画面が回転するタイプの2-in-1ノートPCです。画面サイズは16インチで、一般的な14～15.6インチよりもやや大きめ。見やすくて大きな画面で作業したい、あるいはプレゼンなどで相手に見せたい用途に向いています。
画面が回転するタイプの16インチ2-in-1『Yoga 7i Gen 8 16型』
記事執筆時の価格
| スペック | 価格 |
|---|---|
| Core i5-1340P / 16GB / 512GB | 14万9116円 |
| Core i7-1360P / 16GB / 1TB | 18万3601円 |
※2023年10月28日時点
第13世代のパワフルタイプCPUが使われていることもあって、CPU性能は優秀です。筐体にも高級感が感じられます。ただキーボードの作りが、値段のわりにチープに感じました。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
Yoga 7i Gen 8 16型
スペック
| 発売日 | 2023年4月4日 |
|---|---|
| OS | Windows 11 Home |
| ディスプレイ | 16インチ、16:10、2560×1600、IPS、400nit、100% sRGB、光沢、タッチ/ペン対応 |
| CPU | Core i5-1340P / Core i7-1360P |
| メモリー | 16GB LPDDR5-5200 ※オンボード(増設非対応) |
| ストレージ | 512GB / 1TB NVMe Gen4 SSD |
| グラフィックス | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
| 通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1 |
| インターフェース | Thunderbolt 4(映像出力 / USB PD対応)×2、USB3.2 Gen1×2、HDMI、microSDメモリーカードスロット、ヘッドフォン出力 / マイク入力 |
| 生体認証 | 顔認証用IRカメラ |
| サイズ / 重量 | 幅362.16mm、奥行き250.12mm、高さ16.99mm / 約1.98kg |
| バッテリー | 4セル71Wh 約21.5時間 |
本体デザイン
Yoga 7i Gen 8 16型の外観。本体カラーはアークティックグレー。実際の色合いはやや暗めのシルバーです
ボディは質感と剛性に優れるアルミ製。表面はツヤ消しのサラサラとした手触りで、指紋の跡は目立ちません
設置面積は幅362.16mm×奥行き250.12mm
A4ノート（ピンク）とB5ノート（ブルー）とのサイズ比較。16インチタイプとしてはやや大きめの印象です
最厚部は実測で19mm（突起部を除く）
底面部のゴム足（突起部）を含めた高さは21.1mm。数値的には薄くはないものの、設置面積が大きいので数値以上に薄く感じます
重さは実測で1.989kg。16インチタイプとしては重く、実際に手に取るとけっこうなズッシリ感があります
ディスプレイを開いた状態
キーボード面もアルミ製。キーの色はダークグレーで、個々のキーがハッキリと見分けられます
ディスプレイのベゼル（枠）は細めですが、ディスプレイ上部のカメラ収納部分が出っ張っているのがちょっと気になりました
インターフェース構成は2-in-1タイプとしては十分。Thunderbolt 4にも対応しています
電源ボタンの反応がいいため、本体を持ち上げる際に触れてしまいスリープへ移行することがたびたびありました
付属の電源アダプターは65WのType-C。重さは175gで、ノートPCに付属するものとしてはコンパクトです
カメラはプライバシーシャッター付き。1080p 30fps対応の動画撮影に対応しています。画角は一般的ですがやや広めで、撮影時には背景が映り込んでいました。顔認証用のIRカメラにも対応しています
スピーカーはキーボード上部に配置。音声はクリアーで低音域には比較的厚みがあり、薄型ノートPCとしてはなかなか高音質です
ただしスタイルによっては音が出る部分をふさいでしまうため、こもって聞こえることがります
排気口はこの部分。ノートPCスタイルの際は、排気がディスプレイに直接当たります
底面部もアルミ製
ディスプレイについて
画面サイズは16インチで、解像度は2560×1600ドット
標準のスケーリング（デスクトップの拡大率）は150%。体感的には15.6インチの100%表示と同程度で、文字がやや小さく感じました。見づらいときは、拡大率を上げるといいでしょう
ディスプレイの色域は100% sRGB。スマホやタブレットほど鮮やかではないものの、ノートPCとしては十分高品質です。コントラストも高いのですが、表面は光沢ありのグレア仕上げのため、照明や背景が映り込む場合があります
輝度は400nit。十分な明るさで、明るい照明の下でも画面が暗く感じません
キーボードについて
キーボードはテンキー付きの日本語配列
左側のキー配列
右側のキー配列はEnterキー周辺が窮屈。特に「￥」キーがかなり小さく作られています
キーボードはバックライト対応
キーは十分な大きさですが、前述のとおりEnterキー周辺にややクセがあります
タイプ感は軽めです。キーを押した瞬間の手応えはあるものの、ストロークはやや浅め。ホームポジション付近で、わずかなたわみも感じられました。指を打ち下ろすようなタイピングではなく、指先を使って軽い力での入力に向いています
軽い力でもタイプ音はカタカタと聞こえます。うるさくはないものの、静かな場所では多少の配慮が必要でしょう。打ち下ろすように入力するとバチバチと音が響くので注意
ベンチマーク結果
試用機のスペック
| CPU | Core i5-1340P(12コア16スレッド、PBP 28W) |
|---|---|
| メモリー | 16GB |
| ストレージ | 512GB NVMe SSD |
| グラフィックス | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
※各種ベンチマークテストは一部のテストを除いて、Windows 11の電源プランを「バランス」に電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、標準収録ユーティリティ「Lenovo Vantage」の「電源およびパフォーマンス」を標準設定の「インテリジェント・クーリング」に変更。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPU（APU）としては、インテル第13世代のCore i5-1340P(12コア16スレッド)またはCore i7-1360P(12コア16スレッド)が使われています。どちらもPBP（プロセッサベースパワー、消費電力の目安）は28Wで、薄型ノートPC向けのパワフルタイプです。Core i5-1340P搭載の検証機では、CPUのPL1が55Wに、PL2が64Wに設定されていました。
「Lenovo Vantage」によるパフォーマンス設定を標準（インテリジェント・クーリング）と最大（エクストリーム・パフォーマンス）に変えてCPUベンチマークテストを行なったところ、フルパワーの最大設定では非常に優秀な結果が出ました。パワーを抑えた標準設定ではスコアが下がっているものの、それでも全体で見れば優秀な部類です。とても高性能な機種と言っていいでしょう。
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (総合性能)
| CPU | PassMark CPU Mark Score |
|---|---|
| Yoga 7i(Core i5-1340P,最大) |
22283
|
| Ryzen 7 7735U |
21043
|
| Core i5-1340P |
20760
|
| Core i7-1360P |
19623
|
| Ryzen 7 7730U |
18979
|
| Core i5-1335U |
18240
|
| Yoga 7i(Core i5-1340P,標準) |
17662
|
| Ryzen 5 7535U |
17163
|
| Ryzen 5 7530U |
16196
|
| Core i7-1355U |
15636
|
| Core i3-1315U |
13033
|
| Ryzen 3 7330U |
10909
|
| Core i3-N305 |
10265
|
| Ryzen 5 7520U |
9759
|
| Ryzen 3 7320U |
9249
|
| Intel N100 |
5620
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
軽めの作業に強く影響するシングルスレッド（シングルコア）のテストでも、上位クラスの結果が出ています。標準のパフォーマンス設定でも、軽めの作業であればまったく問題ありません。むしろ普段の作業には、標準設定を利用したほうがいいと思います。
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (シングルスレッド)
| CPU | PassMark CPU Mark Score |
|---|---|
| Yoga 7i(Core i5-1340P,最大) |
3798
|
| Yoga 7i(Core i5-1340P,標準) |
3788
|
| Core i7-1360P |
3670
|
| Core i5-1335U |
3665
|
| Core i7-1355U |
3606
|
| Core i3-1315U |
3573
|
| Ryzen 7 7735U |
3289
|
| Ryzen 7 7730U |
3228
|
| Ryzen 5 7530U |
3136
|
| Ryzen 5 7535U |
3105
|
| Ryzen 3 7330U |
3089
|
| Ryzen 5 7520U |
2573
|
| Ryzen 3 7320U |
2485
|
| Core i3-N305 |
2279
|
| Intel N100 |
1971
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のIris Xe Graphicsが使われます。Core i5-1340P搭載の検証機で3Dベンチマークを行なったところ、CPU内蔵タイプとしては標準的な結果が出ました。ゲームやグラフィックスソフトで多少の効果が見込めますが、大作ゲームや高度な動画編集を行なえるほどではありません。
内蔵グラフィックスの性能差（DirectX 12）
| GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
|---|---|
| GTX 1650 |
3445
|
| Radeon(RDNA 3) |
2862
|
| Radeon 680M(RDNA 2) |
2211
|
| Iris Xe(Core i7+LPDDR) |
1528
|
| Yoga 7i(Core i5,LPDDR) |
1394
|
| Iris Xe(Core i5+LPDDR) |
1302
|
| Radeon (Vega) |
1204
|
| Iris Xe(Core i7+DDR) |
1149
|
| Iris Xe(Core i5+DDR) |
977
|
| UHD(Core i3) |
900
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」（一般利用）ではCPUのシングルコア性能、「Productivity」（ビジネス利用）ではCPUのマルチコア性能、「Digital Contents Creation」（コンテンツ制作）ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
パフォーマンスを標準設定（インテリジェント・クーリング）と最大設定（エクストリーム・パフォーマンス）の2パターンに調整してテストを行なったところ、全体としてはなかなか優秀な結果となりました。ただし負荷の高いマルチコア性能が要求されるビジネス利用（高度なワープロや高度な表計算）では、スコアがやや落ちています。ビジネスには問題なく使えるものの、重すぎる処理は苦手なようです。
PCMark 10ベンチマーク結果
| テスト | スコア |
|---|---|
| Essentials (一般的な利用) 目標値：4100 |
11503
11479
10616
9882
10917
10258
10501
|
| Productivity (ビジネス利用) 目標値：4500 |
7202
7654
10003
6966
9572
7417
7622
|
| Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値：3450 |
6735
6890
6018
5500
6536
6026
6624
|
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
| ▶ThinkBook 14 Gen5 | Ryzen 5 7530U / 16GB / Radeon |
|---|---|
| ▶Vostro 15 3550 | Core i5-1335U / 16GB / Iris Xe |
| ▶IdeaPad Flex 5 Gen 8 | Ryzen 7 7730U / 16GB / Radeon |
| ▶HP Pavilion 15-eg | Core i7-1355U / 16GB / Iris Xe |
| ▶Inspiron 16 5630 | Core i7-1360P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は、公称値で最大 約21.5時間とされています。しかし公称値は実際の利用を想定した測定結果ではないため、実際の利用では駆動時間が短くなりがちです。
そこでCore i5-1340Pモデルを使って最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から12時間10分で休止状態へ移行しました。公称値よりも短い結果でしたが、日常的なビジネス利用でこれだけもてば十分でしょう。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。なおバッテリー駆動時は、電源接続時に比べてパフォーマンスが低下するので注意してください。
バッテリー駆動時間の計測結果 ※Core i5モデル
| テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
|---|---|---|
| ※公称値 | 小 | 約21.5時間 |
| Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 12時間10分 |
| 50%充電までにかかった時間 | － | 47分 |
| フル充電までにかかった時間 | － | 3時間 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
熱と騒音について
表面温度
今回試用したCore i5-1340Pモデルでは、高負荷時にキーボード上部がほんのり温かく感じました。特に熱くはありませんが、Core i7-1360Pモデルではより高い熱が生じるかもしれません。
高負荷時にはキーボード上部がほんのり温かく感じる程度で、触れないほどではありません
CPUの熱
CPUの熱の計測ではほかのテストと同様に、標準設定（インテリジェント・クーリング）と最大設定（エクストリーム・パフォーマンス）の2パターンで行ないました。標準設定での平均CPU温度は68.2度、最大設定では平均75.04度と出ています。
テスト開始から30秒前後までは高出力状態が続いており、その際に最大温度は95度に達しました。ただこれはほんの短い時間だけなので、PCの健康状態に大きな影響を及ぼすほどではないでしょう。ただし可能性あるなら、より温度の低い標準設定を常用したほうがいいと思います。
CINEBENCH R23のマルチコアテストを10分間行なった際のCPUクロックとCPU温度の推移
駆動音
駆動音（ファンの回転音や排気口からの風切り音）は、高負荷時に多少大きく聞こえます。うるさすぎるほどではありませんが、外出先で利用するなら標準設定で利用するといいでしょう。
駆動音の計測結果
| 電源オフ | 36.8dBA | － |
|---|---|---|
| 待機中 | 36.8dBA前後 | ほぼ無音 |
| 軽作業中 | 36.8dBA前後 | 同上 |
| 高負荷時(インテリジェント・クーリング) | 41.8dBA前後 | 排気音が聞こえるがうるさくはない。ただし静かな場所では目立つ |
| 高負荷時(エクストリーム・パフォーマンス) | 44.6dBA前後 | 排気音がハッキリと大きく聞こえる。ガマンできないほどではないが、常時聞こえるとストレスがたまりそう |
| (参考)エアコンの最大出力時 | 48～58dBA前後 | － |
16インチ2-in-1としてはリーズナブル
16インチディスプレイ搭載の大型2-in-1は種類が少なく、一般的な14～15インチタイプよりも値段が高めに設定されています。ボリュームゾーンが20万円台（記事執筆時点）であることを考えれば、約15～18万円のYoga 7i Gen 8 16型はなかなかお買い得と言っていいでしょう。ただ画面回転機能やペン入力が必要ないのであれば、変形しないスタンダードノートPCタイプのほうが安く入手できます。
外観は非常に高品質です。見た目は高級感があり、機能的にも十分以上な仕上がりを実現しています。ただしキーボードの作りがイマイチ。おそらくワンランク下のブランドである「IdeaPad」シリーズのキーボードを流用しているのでしょう。16インチ2-in-1としてはリーズナブルと言っても一般的には安くないので、このあたりにまで気を配ってほしいところです。
Yoga 7i Gen 8 16型
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